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仲良しって良いなという話(46/100回)

長い坂を登った先に小さなバス停がある。

そこに2人がけくらいの小さなベンチがあって、いつも近所のおばちゃんが2、3人夕涼みをしている。

毎日のことなので仲良しだなと思って見ていたのだけど、先日バス停の前を通ると5人に増えていた。

2人がけのベンチに5人なので明らかに狭い。
真ん中のおばあちゃんは肩をすくめているし、両端のご婦人はお尻が半分落ちている。

ぎゅうゆう詰めなので横を向くこともできない。
みんなまっすぐ前を見て楽しそうに談笑していた。

「肩寄合って」を体現したような光景で少し微笑ましかった。


十姉妹(ジュウシマツ)という鳥がいる。
ペット用の穏やかな性格をした小鳥で、たくさんの個体をカゴに入れてもケンカをしない。
たくさんの個体がなかよく暮らす様子から十姉妹という素敵な名前がついたらしい。

ぎゅうぎゅう詰めのおばちゃん達を見ていてふとそんなことを思い出した。



僕は子供の頃から動物が好きで、小鳥やハムスター、モルモットを飼っていた。
大型犬がいた時期もあるし、今でも二代目のうさぎを飼っている。

人でも動物でも何かの世話をするのは楽しい。
自分が必要とされている感じがするし、よろこんでくれる姿を見るのは単純に嬉しい。

子供の頃はただかわいいからという理由で動物を飼っていたけど、大人になってから、(特に子供が生まれてから)は「世話をしたい」という衝動で飼っている気がする。


人の世話をすることを喜べるのは多分幸せだ。
ひさしぶりに実家に帰ると母親が食べきれないくらいの夕食を作るのは、多分こういうことなのだ。

心を満たすためには自分以外の何かが必要なのかもしれない。

今日帰りにバス停の前を通ると、おばちゃんは4人だった。

狭いベンチで互いにうちわで仰いだりして世話を焼き合っていている。
もう少し気候が良くなって秋の夜長の頃には10人に増えているはずだ。

僕は1人が好きな人間だけど、仲良しって良いなと思えた。



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