その人をこの場所に連れてきたのは、何も北国初心者だからと言うだけではない。どうでもいい相手なら、こんな所まで車まで出して連れてきやしないのだ。
ただ、この人には見て欲しかったのだ。わたしが綺麗だと感じたものを、彼と共有したかった。
「なんで連れてきてくれたんだ?」
ひとしきりその光景を楽しんだらしい彼は、私の軽口にそう問いかける。
そんな彼の言葉に「さてね。ま、好きだからじゃないですか?」と軽い調子で返すのだ。
その言葉は、重すぎてはいけない。冗談で済ませてくれるなら、私の恋は始まりもせずに終わるだけで済んでくれるのだから。
私の言葉にピシリと固まった彼が、口を開くまであと--
#写真 #SS