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外資経営コンサルが綴る実践的ITストラテジスト攻略法

(ⅰ)はじめに

本noteは、IPA(情報処理推進機構)の情報技術者試験のうち、「ITストラテジスト」への攻略法を筆者の経験より整理したものです。

本noteをご覧いただくことで、ITストラテジスト試験に対するアプローチや勘所を理解し、ITストラテジストへ挑戦に自信をもって挑戦可能となるようになることを目的をして綴りました。
特に最大の難関である午後Ⅱの論文部分に注力してHow toを記載しております。

(ⅱ)ITストラテジスト試験とは?

概要
IPAによると所謂、ITコンサルやCIO、CTO、時代的にはCDO、CDXOに対する支援が可能な人材、素質を有することを証明する試験です。

【ITストラテジスト ~経営とITを結び付ける専門家~】
経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、ITを高度に活用した事業革新、業務改革、及び競争優位を獲得する製品・サービスの創出を企画・推進して、ビジネスを成功に導くCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す方に最適です。
※ IPA ITストラテジスト試験より抜粋

ちなみにITストラテジスト試験の位置づけは、以下の通りで基本情報技術者試験や応用技術者試験の上位概念として設定されています。その中でもプロジェクトマネージャーやシステムアーキテクト等を突破したうえで受けるのが基本的な流れだというサイトや口コミもありました。

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※IPA 現行試験制度より抜粋

試験構成
ITストラテジスト試験は下記の通り、4つの構成となっています。

午前Ⅰ
応用情報技術者試験の午前問題から30問がランダムに抽出された試験となります。ほかの高度情報区分の試験と共通です。順々に情報技術者試験を受けてきた方々には特段新しいことはないと思います。60%以上でクリアなので、18問以上の正解が必要です。
ちなみに応用情報技術者や高度情報区分(プロジェクトマネージャー等)に合格して2年以内は免除が可能です。
申込みをする際に免除が可能な方は忘れずに登録して下さい。

午前Ⅱ
経営/IT戦略系問題やプロジェクトマネジメント系問題が主です。この分野に関しては、いままで情報技術者試験を受けてきた方も知識を強化する必要があると思います。60%以上でクリアなので、15問以上の正解が必要です。
経営に関連する仕事についていると、フレームワークや概念など、かなりなじみがある内容も多いと思いますので、学習コストが少なくて済むかもしれません。

午後Ⅰ
4つの大問から2つを選択して、回答する記述式です。大学入試の国語問題のイメージすると近いと思います。すごく難しいわけではないですが、どこまでを回答に盛り込むか、記載の仕方については何度も解いて慣れておく必要があります。こちらも60%以上の正解が必要です。時間は90分ですが、意外に時間はないという感じを受けています。
(中小企業診断士の問題とも近いという噂もちらほら)

午後Ⅱ
最大の難関が午後Ⅱの論文です。3つの大問から1つを選択して解くのですが、慣れない手書きで合計2,000~3,000文字を書く必要があります。
本試験受けられる方は仕事で、手書きで資料作成されることはほとんどないと思いますので、こちらも事前に慣れておく必要がります。リハビリが必要です。
時間としては120分ですが、分量の割りに時間がかなりタイトです。

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※IPA 試験時間・出題形式・出題数

(ⅲ)筆者ステータス

論文形式が含まれるため、ある程度の実践経験が前提とされている試験であると想定されます。そのため、私自身の状況を踏まえて以下の攻略法を読んでいただければ幸いです。
(1発合格しましたという方のなかには、実は仕事でどんぴちゃのことに携わっていて経験豊富な方や、既にプロジェクトマネージャー/システムアアーキテクトに合格されている方もいらしゃるのでスタートラインを加味したうえで勉強計画を立てることが大切だと思います。)

・職歴:ITコンサル(4年)⇒経営コンサル(2年)
 ⇒IT知識・スキル、および経営戦略・IT戦略等に係る経営関連の知識や経験あります。

・保有資格(IT関連)
 ・基本情報技術者
 ・応用情報技術者
 ⇒ITコンサルの新人の時に取得しました。だいぶ昔の話です。

・ITストラテジスト受験ステータス
 ・初受験
 ⇒プロジェクトが落ち着いたら受けようと思い、とりあえず年初に申込みました。4月にすこし時間が取れて勉強時間もわりと確保して試験に臨むことができました。ラッキーでした。

(ⅳ)ITストラテジスト攻略に対する戦略

完璧なプランで万全に準備して合格してやろうと思ったものの、プロジェクトが炎上していたために実際に勉強を開始したのは、2月末からでした(こんなはずではなかったのですが、、)
そのため、現状分析をしたうえで、合格目途が見えそうな部分の勉強量は減らし、合格目途が見えずらい部分と午後Ⅱ(論文)に力を割り当てるようにしました。
名付けて、「土壇場の選択と集中戦略」です。

(ⅴ)勉強方法/タスク

①現状把握・2018年の試験を時間関係なく一通り実施(午後Ⅱの論文を除く)
 ⇒午前Ⅰは40%くらいでテクノロジの理論部分が弱いことが判明
 ⇒午前Ⅱは60%くらいでまずまずの様子であることを確認
 ⇒午後Ⅰは国語なので現状の知識レベルでも回答でき、時間があれば対応できそうな手ごたえを確認

②午前Ⅰは弱点分野を中心に応用情報の過去問道場で鍛錬
・午前Ⅰは現状把握でできていなかった部分(テクノロジ)を中心に、応用情報の過去問道場で、毎朝30分程度実施
・試験回や問題分野を選択して取り組め、解答も確認できる優れものをフル活用

③午後Ⅱは重点対策を活用
・午前Ⅱは下記の書籍の第2部の全問知識の習得にある各章末問題を解き、60%解けた章と解けなかった章を確認
・解けなかった章のみ、知識の詳細を確認

④午後Ⅰは重点対策・過去問で出題形式に慣れ・時間感覚、そして回答精度を向上
・午後Ⅰは現状の知識レベルでもなんとか太刀打ちできそうなことを確認
・そのうえで、週末に重点対策の午後Ⅰ問題、過去問2020に載っている問題を時間を図りながら実施
・なぜその解答となったのか腹落ちするまで確認

⑤午後Ⅱは出題傾向を分析し、対応分野を絞り込み、該当の問題を中心に5本論文を執筆

<出題傾向分析>
・ITストラテジスト 合格論文の書き方にある過去の出題分野・出題年に関連する星取表を確認
・その結果、IT投資やIT評価はほとんど出題されていないことがわかり、かつデータ活用や新規事業が連続して出題されていることを確認
・また、DXの流れもあるのでデジタル×新規事業は出題される可能性が高いと推し、「業務改革/改善/分析」「データ活用」、「ビジネスモデル構築」の3分野が出題されるのではないか、を仮説を立て注力することを決定
・「業務改革/改善/分析」がきちんとかければどのタイプでもそれなりに応用が利く(と思っていいます)

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<手書き、時間配分になれる>
・5本程度実際に書いたほうがよいと、上記の合格論文の書き方にアドバイスがあったので、それに従ってトレーニングを実施

(ⅵ)勉強スケジュール

勉強方法/タスクを詳細化し、スケジュール化を実施しました。
仕事もあり、勉強がなかなかできなかった時期はありますが、実績も踏まえてITストラテジスト勉強スケジュールを整理してみました。
ちなみに以下の通りで、平日は毎朝&毎晩1時間程度を捻出し、休日は3-5時間程度は毎週勉強していたと思います。

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(ⅶ)午後Ⅱの戦い方(How to win)

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