書評

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ノート

マルキ・ド・サド「美徳の不幸」澁澤龍彦訳 ➁

前回は美徳の不幸の悪人に着目したが、今回は善人である、主人公ジュスチーヌに着目してみよう。

二言目には「神がそんな事を許しません!」とか「必ず天の裁きが下ります!」とか「ああ、そんな恐ろしい事を!」とか言う女の子だが、案外狡猾で恩着せがましいところもある。

不幸な生い立ちである事は確かなのだが、行く先々で他人を信用しては、自分の身の上話をして、同情を誘い、助けてもらおうとする。何十回同じ失敗を

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