ミケル・バルセロ展|国立国際美術館

遅まきながら4月9日に見てきました。私はもろにニューペインティング世代なので非常に感慨深く見たのですが、いまの若い方も是非ご覧になるといいかと思います。いろいろ示唆に富む展覧会です。

会場内では作家の制作風景を追った、短いドキュメンタリーが上映されてるんですが、制作のコンセプトとか文脈、ステートメントなどで悩んでいる人は、是非これをご覧になるといいかと思います。一目瞭然なのですが、ミケル・バルセロはほとんど言語的にコンセプトを考えていません。

というか、言語的思考より早く手を動かすこと、もっと端的に言うと言語を振り切ることをテーマに制作しています。「欧米人は言語的コンセプトがなければ認めない」とよく言われますが、少なくともこの作家にはそれは該当しません。あえて言うなら非言語、脱言語的コンセプト、とでも言いましょうか。

まあ彼の賢いのは、そうした脱言語的取り組みをシステマティックに構築して言語化した、という点でしょうか。いわばメタコンセプト、とでも言えるかもしれません。もう一つは文脈ですが、彼は近代芸術の文脈を超えて、直接、ショーヴェ洞窟の壁画に自分の制作を隣接させるんですね。

これもまあ超文脈と言いますか、セコセコした、ほとんどそれ誰にコネがあるかって話じゃんみたいな近視眼的「文脈」を遥かに超える文脈形成で、縄文時代を持ち出した岡本太郎を彷彿とさせます。

そういうわけで、自分の制作がどうもいま一つコンセプチュアルじゃないような気がするとか、昨今のアートシーンの文脈から外れてるような気がする、という方は、是非ご覧になるといいかと思います。もちろん、作品そのものもド迫力なので、見ててスカッとすること請け合いです。

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