あるラーメン屋さんのお話
ある日、通勤の途中に、新しい暖簾がかかったお店を見つけた。
だいだい色の布に、温泉マークが染め抜いてある。なんのお店なんだろう?
翌日、ノートの切れ端に、ボールペンの細い字で、こんな風に書いてあった。
「11月16日より営業を開始します。
名古屋の行列店の味を京都に持って来ました。
宜しければ一度食べてみて下さい。
他のラーメンとは麺が違います。」
なぜに手書き…。
とりあえず、11月16日オープンと手帳に書き込んだ。
11月16日。…開いてない。
オープン出来なくなったとの張り紙。全然事情は読み取れないけれど、何かあった様子。
数日後、また新しい張り紙。
今度はノートの切れ端に、太いマジックで、「11/30オープン開始致します。」の文字。
本当にさっぱり事情はわからないけれど、太字になった文字に、なんだか強い意志を感じた。
そして11/30。
ドキドキしながら再びお店に行ってみる。
あ、開いてる!
すでにカウンターは、ほぼ満席。1つ空いていた席に座る。
ただ毎日、お店の前を通って、通勤していただけだけど、事情もよくわからないけれど、無事にオープン出来て良かったね、と思いながらラーメンを食べた。
っていうか、麺、太っ!
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