手のひらにはあと
クリエイティブとはなんだろう、と思うときがあります。
アートや、ファッション、音楽、広告、映像、文筆など、少し崇高なイメージもついて回る『クリエイティブ』
いまは、個人が簡単に制作、発信できる環境が昔よりも整っているので、少しだけ敷居が低くなってきている印象もあります。(このnoteもそうですね)
そんなクリエイティブを感じた学生時代の思い出話。
今でこそ縁遠くなってしまいましたが、ぼくは学生時代、教育大学に通っていました。
教育大学では、基本的には卒業の単位として教育実習に行くのですが、ぼくもご多分にもれず大学3年生のころ、教育実習にいきました。
教育実習といえば母校に、というイメージもありますが、そこはさすが教育大学。敷地内に付属の小学校があり、そこに実習へいきました。
普通の会社でいうと強制インターンみたいなものでしょうか。まあ、初めての社会にひいひい言いながら実習を終えたのでした。
同じ敷地内に実習の学校があるので、実習を終え、バカ大学生に戻っても、教えていた子に偶然会うこともあります。
その時も、ちょうど授業を終え、駅に帰ろうと正門に向かっていると、「せんせい!!」の元気な声。
振り返ると実習のときに教えていた1年生の女の子でした。
「久しぶりだね、元気?」など他愛もない会話をして歩くとその女の子から『先生はチョコもらった??』と質問が。
2月の半ば、バレンタインデーの季節。
「もらってないなあ。○○さんは誰かにあげたの??」
『学校に持ってきちゃいけないから、あげてない』
「そうかあ、それは残念だねえ。先生こっちだからじゃあね!」
とさよならしようとしたとき
『あ!そうだ、先生、手、だして!』
ん??数秒前には持ってきちゃいけないとか言ってたのに、実は隠し持ってきてるのか??笑
その余りの処理??笑
と、うがっていると、
その子は筆箱からピンクのペンを出して、ぼくの手のひらに小さくハートを描きました。
『はい、どうぞ!じゃあね!』
その子はさーっと走っていってしまいました。
もうその子の名前も顔も覚えていないけれど、今も強烈に残る被クリエイティブ体験。
それから何人かの女性と付き合ったり、もう結婚もしていますが、過去を振り返っても、現実でも創作でも、チョコを使わずにこんなにおしゃれに表現したバレンタインに出会ってきていません。
『ただでホワイトデーのお返しをもらおう!』とかそんな打算などはもちろんなかっただろうし、ただただ思い付いただけだと思うのですが、
クリエイティブはもしかしたら、製作者側のこだわりではなく、受け手の気持ちがどれだけうごいたかとか、受け手の心にどれだけ残ったか、が一番大事なのかもしれないな、と実感した瞬間でもありました。
そう考えると、クリエイティブディレクターや広告マンのような専門職だけのものではなく、日常のなかに、たくさんクリエイティブは溢れているのかもとも思ったりします。
そんなクリエイティブに気づいていきたいな、そんな感受性を磨きたいな、と一種の人生のターニングポイントだったかもしれません。
それにしても小1にして、手のひらにハート。
やっぱりすごいよなあ。。笑
(例によって写真は本文とは関係なく、仕切りです笑)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?