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一戸建ての固定資産税の計算方法と減額特例について詳しく解説


マイホームの購入は、初期費用にあたる住宅取得費用に注目しがちですが、メンテナンスコストなどのランニングコストについてもあらかじめ考えておく必要があります。

とくに「固定資産税」は毎年支払う必要があるので負担の大きいランニングコストです。固定資産税は土地や建物によって金額が変わるので、「いくらかかるのか?」を念頭に置いて資金計画を立てることが重要です。

そこで今回は、新築一戸建ての固定資産税の目安や計算方法、減額になる特例などを解説していきます。一戸建ての購入を検討している方はぜひ最後までご覧ください。

固定資産税とは?基本のポイントを押さえておこう!

固定資産税と聞くと「家を購入したら払わなければならない税金」という認識の方が大半でしょう。

ただ、固定資産税とは何か、詳しい仕組みについてはあまり知らない方も少なくありません。ここでは、固定資産税を払ううえで押さえておきたい基本のポイントを解説します。

固定資産税は土地や建物に課される地方税のこと

固定資産税とは、土地を建物のそれぞれに課される税金のことです。不動産を所有している人に支払い義務が生じ、国税ではなく、市町村が課税する地方税にあたります。

なお、新築一戸建てを購入した場合は引き渡しから1~3か月ほどで自治体による家屋調査が行われ、固定資産税の額を算出するという流れが一般的です。家屋調査では「固定資産税評基準」をもとに、さまざまな項目を調査して点数が付けられ、点数の合計が建物の評価となって金額が決定します。

固定資産税を支払いたくないからといって、正当な理由なく家屋調査を拒否すると罰則の対象になります。ただし、固定資産税の金額が高すぎると感じた場合は再調査を依頼できるので、自宅の固定資産税の額が相場に見合っているかを判断できるようになっておくことが大切です。

年数が経つごとに固定資産税は減額していく

固定資産税は家を購入すると毎年支払わなければなりませんが、年数が経つごとに減額していくのが基本です。

というのも、「固定資産税評価額」をもとに算出される際、資産価値も評価ポイントの一つになるのですが、経年劣化などで建物の資産価値は年々下がっていくため、結果的に年数が経つごとに金額が減っていくのです。

そのため、家を購入して最初に払う固定資産税の額が最も高くなるケースが多いといえます。

固定資産税が決定するのはいつ?支払うタイミングは?

固定資産税は毎年支払わなければなりませんが、いつどのタイミングで金額が決定し、いつまでに支払う必要があるのか見ていきましょう。

毎年1月1日に不動産所有者に対して支払い義務が発生する

固定資産税は毎年1月1日の時点で不動産を所有している人に支払い義務が生じます。
ここでいう不動産の所有者とは、登記簿に登録されている人のことであり、その年の4月1日~翌年の3月31日までの1年間が対象期間となります。

支払い時期は年4回

毎年1月1日に支払う人が決定しますが、納税通知書が届くのは4~6月が一般的です。なお、支払うタイミングは年4回あります。

  • 6月:第1期分納税

  • 9月:第2期分納税

  • 12月:第3期分納税

  • 翌年2月:第4期分納税

一括でまとめて支払うことも可能であり、一括でも分割でも支払い金額は変わりません。何度も支払い手続きをするのが面倒な場合は一度にまとめて支払うとよいでしょう。

固定資産税はいくらが目安?

固定資産税は一体いくらかかるのか?」は大半の方が気になるポイントでしょう。

3,000万円前後の住宅を購入した場合、10~15万円(特例適用前)が相場となっています。そのため、新築一戸建てを購入したら、住宅ローンや光熱費などとは別に、毎月1万円ほど住宅費としてかかることがわかります。
ただ、土地や建物によって金額が変動するため、一概にいくらとは言い切れません。より詳細な固定資産税の額については、次の章で解説していきます。

一戸建ての固定資産税を計算してみよう

3,000万円の住宅なら10~15万円の固定資産税が相場であると解説しましたが、より正確な金額を知りたい方はどのように算出されるのか確認しましょう。

ここでは、新築一戸建ての固定資産税の計算方法を解説したうえで、4,000万円の住宅の固定資産税をシミュレーションしていきます。

基本の計算方法

固定資産税は以下の計算式から算出できます。

【固定資産税の計算式】
土地の固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率(標準税率1.4%)
建物の固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率(標準税率1.4%)
なお、「固定資産税評価額」は以下の計算式から算出します。
土地の固定資産税評価額 = 土地の価格 × 70%
建物の固定資産税評価額 = 建物の価格 × 70%

【新築一戸建ての固定資産税の計算式】
新築の場合は軽減措置を利用できるので、以下の計算式が適用できます。

土地の固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率(標準税率1.4%)×1/6
建物の固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率(標準税率1.4%)×1/2

軽減措置については後で詳しく解説しますが、土地は1~3年間の固定資産税が1/6となり、建物は1~5年間の固定資産税が1/2となります。

では、こちらの計算式をもとにシミュレーションしていきましょう。

4,000万円の新築一戸建ての固定資産税をシミュレーション

4,000万円の新築一戸建てを購入したと想定し、固定資産税を先ほどの計算式を使って算出します。条件は以下の通りとします。

【条件】
物件価格:3,500万円
土地価格:1,500万円(固定資産税評価額:1,050万円)
建物価格:2,500万円(固定資産税評価額:1,750万円)
土地面積:130平米
建物面積:100平米

【土地の固定資産税】
固定資産税額:1,050万円(固定資産税評価額)×1.4%(標準税率)×1/6 =約2.4万円

【建物の固定資産税】
固定資産税額:1,750万円(固定資産税評価額)×1.4%(標準税率)×1/2 =約12.2万円

【土地と建物の固定資産税の合計】
固定資産税=土地部分+建物部分=約2.4万円+約12.2万円 = 約14.6万円

つまり、土地価格:1,500万円、建物価格:2,500万円の合計4,000万円の新築一戸建てを購入した場合、約14.6万円が固定資産税だとわかります。

固定資産税の減額になる特例

住宅の購入は大きな買い物であることは間違いありません。ただ、初期費用だけでなく、ランニングコストとしてメンテナンス費用や、固定資産税という支出が新たに発生します。

固定資産税は高額であるうえに毎年支払わなければならないため、納税者の負担を軽減するために減額になる特例が設けられています。先ほどの固定資産税のシミュレーションでも簡単に解説しましたが、ここではより詳しく解説していきます。

住宅用地の特例

そもそも土地は、農地と宅地等(農地以外の土地)に分類され、宅地等は、さらに住宅用地と商業地等(住宅用地以外)に分類されます。

土地宅地等住宅用地(戸建てやアパートの敷地など)商業地等(店舗の敷地、空地など)農地農地

つまり、住宅用地とは「住宅用地の特例が適用可能な住宅の敷地として供されている土地」のことを指します。新築一戸建てがすでに立っている場合は、家が建っている土地を住宅用地として認識すれば問題ないでしょう。

そして、住宅用地においては固定資産税の特例が適用できます。

区分面積固定資産税都市計画税小規模住宅用地200㎡以下1/61/3マンション200㎡以上1/32/3

200㎡は約60坪相当であり、60坪以下の土地に新築一戸建てを建てる場合は、土地の固定資産税評価額が1/6に軽減されます。

なお、300㎡の住宅用地に家を建てる場合は、200㎡分の固定資産税評価額が1/6、残りの100㎡が固定資産税評価額の1/3に軽減されます。

新築住宅の特例

住宅用地に対する特例のほか、新築住宅は建物に対する特例もあります。

特例を受けるためには、管轄の税務署に減額の申告をする必要があります。

まとめ

不動産の所有者には毎年かならず支払い義務が生じる固定資産税。

毎年10~15万円ほどの支出となるケースが多いため、マイホームを購入するときはいつ・いくら支払うのかを把握したうえで、慎重に資金計画を立てることが大切です。

なお、基本の計算式は以下の通りです。

【固定資産税の計算式】

土地の固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率(標準税率1.4%)
建物の固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率(標準税率1.4%)
参考:固定資産税

ただし、200㎡以下の住宅用地は課税標準額が1/6になったり、新築住宅は新築後3~5年間固定資産税額が半額になったりする特例があるので、減額される仕組みや条件についても押さえておきましょう。

ぜひ今回の記事を参考に、固定資産税がいくらになるのかシミュレーションし、適切な資金計画を立ててマイホームの購入を進めてみてください。


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