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リバランスの意味とは?具体的な方法と投資信託における重要性を詳しく解説


「投資で失敗したくない!」
これは投資をしている誰もが思うことではないでしょうか。投資にはリスクが付き物であり、絶対に失敗しないなんてことはあり得ません。しかし、大きな損失を回避し、安定的なリターンを目指すための工夫は確かに存在します。

本記事で取り上げる「リバランス」もその内の一つです。リバランスは保有資産のリスクを適切に管理し、長期的な成長を狙うための重要な手法であり、これを理解することによって運用戦略の幅が大きく広がります。

そこで、本記事ではリバランスとは何か、なぜ重要なのかを説明した上で、リバランスの具体的なやり方と注意点をわかりやすく解説します。加えて、投資信託におけるリバランスの必要性についても触れますので、ぜひ最後までお付き合いください。

リバランスとは?

リバランスとは、一言でいえば「保有資産の比率を当初の目標に戻すこと」です。例えば、資産の50%は現金で50%は株式で保有したい場合、総資産額が1,000万円なら現金と株式はそれぞれ500万円ずつになります。しかし、株式の価値が上昇し700万円になった場合、比率は50%ずつではなくなります。そこで株式を100万円売却し、現金を600万円、株式を600万円にして元の比率に戻します。これがリバランスの一例です。

上記のように、「現金50%、株式50%」といった複数の資産の組み合わせをポートフォリオと呼びます。つまり、リバランスとはポートフォリオが市場の変動によって当初の目標とする資産配分からズレてしまった時、その調整を行うためのメンテナンス作業と言えるでしょう。

なお、資産運用業界では投資家から預かった資金をそのまま現預金(無リスク資産)で保有することはまれであるため、ポートフォリオは「株式50%、債券30%、リート20%」などリスク資産のみで構成され、リバランスについてもリスク資産のみで語られるケースが一般的です。

しかし、個人が投資を行う際には、「いくら投資に回していくら現預金として残しておくか」は自分自身に裁量があり、その決定は非常に重要な投資判断となることから、現預金を含めたポートフォリオのリバランスを考慮することが賢明でしょう。
参考:⼈⽣100年時代・世界分散ファンド

なぜリバランスが重要なのか?

投資で失敗するケースの多くはリスク管理が不十分なことが原因のようです。知らない間に過剰なリスクを負ってしまうと、多額の含み損を抱えて資産の売却を余儀なくされる可能性が高まります。投資というと、利益(リターン)にばかり注目してしまいがちですが、分散投資やリバランスなどのリスク管理も非常に重要です。

例えば、株式と債券のポートフォリオを考えます。株式は価格変動が大きいけれど、その分大きく上昇する可能性が高い傾向にあります。これを「ハイリスク・ハイリターン」と呼びます。一方、債券は価格変動が比較的少ないけれど、その分得られる利益も控えめです。これが「ローリスク・ローリターン」です。

このポートフォリオを運用した結果、株式の価格が債券より大きく上昇したとすると、株式の比率が高まります。これは当初に想定していた以上のリスクを抱えてしまっている状態に他なりません。このため、その後株価が大きく下落したら、ポートフォリオ全体の評価額(合計残高)も想定以上に大きく下落してしまいます。

一方で、人は年齢を重ねるにつれてリスクを取りにくくなることが一般的です。年を取って長期の運用期間の確保が難しくなると、失敗の取り返しがきかなくなることに加え、メンタル的にも結婚、子育て、定年退職など、人生のステージが変わるごとに安定を求める気持ちが強くなりやすいからです。

このように、ポートフォリオのメンテナンスを行わないと、時間とともに実際に負っているリスクと自分のリスク許容度との間に大きなギャップが生まれる危険があります。そこで、リバランスを行い株式と債券の比率を元に戻すことよって、ポートフォリオのリスクが想定外に大きくなることを防ぐのです。

リスク管理において、リバランスがいかに重要かお分かりいただけたのではないでしょうか。
 
参考:ローリスク・ローリターン

リバランスのやり方は?注意点は?

ここからは、リバランスの具体的なやり方について解説します。

まずは、「現金20%、株式40%、債券40%」など目標とするポートフォリオの資産配分比率を決めましょう。現金には生活費など日常に利用する資金も含まれることから、固定金額にして「現金100万円、残りの50%を株式、50%を債券」といった形にするのも一案です。自分のリスク許容度や分散投資の効果を踏まえながら比率を決定するとよいでしょう。

なお、分散投資の効果や活用方法については「投資信託を買う⑤:分散投資とは?投資初心者でもできる活用方法を解説」で詳しく解説しています。

次に、現時点のポートフォリオの資産配分比率をチェックしましょう。利用している金融機関の口座にログインすれば各資産の残高が確認できるため、そこから比率を計算して目標との乖離をチェックします。

最後に、目標より比率が上回っている資産を売却し、下回っている資産を購入しましょう。売買結果が残高に反映された後に、目標との乖離が解消されていることを確認すればリバランス完了です。

このように、リバランスを行うこと自体はそれほど難しくありません。一方で、覚えておきたい注意点が三つほどあります。

第一に、売買コストです。売買コストがかかる場合、リバランスを頻繁に行うとコストがかさんでしまうため、頻度は売買コストも踏まえて考える必要があります。

第二に、税金です。売却で利益が出た場合、NISA等の非課税制度を利用していない限り税金がかかります。コストと併せて考慮しておきましょう。

そして第三に、売却代金の入金には数日を要することです。このため、入金までは売却資金を購入に充てることができません。売却と購入を同タイミングで行うと市場変動の影響を小さくできるというメリットがありますが、これを行う場合、購入資金を別で用意する必要があります。

以上の注意点に気を付けながらリバランスを行うようにしてください。

参考:資産複合

リバランスの頻度~三つのアプローチ~

注意点の説明でも触れましたが、リバランスをどの程度の頻度で行えばいいかわからない方は多いと思います。そこで、リバランスを行うトリガーとして、時間ベース、閾値(いきち)ベース、イベントベースの三つのアプローチをご紹介します。

  • 時間ベース

  • 時間ベースのリバランスは、一年に一度や四半期ごとなど、定められた周期で行う方法です。機関投資家などのプロは毎月リバランスを行うことも多いですが、年に一度のリバランスでも相応に効果があると考えられます。正月など、何かのイベントと紐づければ忘れずに行うことができるのではないでしょうか。

  • 閾値ベース

  • 閾値ベースのリバランスは、ポートフォリオの資産配分比率が目標から一定の範囲(閾値)を超えてズレたときに行う方法です。このため、比率は比較的こまめに確認する必要はありますが、実際の売買は一定の範囲を超えない限り行わないで済むことがポイントです。

  • イベントベース

  • イベントベースのリバランスは、経済の大事件やライフスタイルの変化など、特定のイベントをトリガーに行う方法です。特にライフスタイルが変化した場合は、資産配分比率を元に戻すのではなく、目標とする比率そのものを見直すべきケースもあります。こうした変化に柔軟に対応できるのがこの方法の特徴です。

以上、三つを紹介しましたが、時間ベースと閾値ベース、時間ベースとイベントベースなど複数のアプローチを組み合わせることも可能です。実際に試しながら自分の合ったものを選択するとよいでしょう。


投資信託とリバランス

投資信託とは、多くの投資家が資金を出し合い、資産運用のプロであるファンドマネジャーが株式や債券などの投資商品(銘柄)を選んで運用し、その成果を分配する仕組みです。

多くの投資家から資金を集めるため、一人一人の投資金額は少額でも、投資信託を通じて様々な投資商品、特に個人投資家にはハードルが高いようなものにも投資することが可能です。また、ファンドマネジャーに運用を任せることで、自分で投資先を選ぶ必要がないため、知識がない場合でも比較的安全に投資することができます。

当然のことながら、投資信託の運用にはメンテナンスも含まれており、保有銘柄のリバランスは全てファンドマネジャーが行います。このため、株式と債券に分散投資したい場合、それらに投資するバランスファンドを購入すれば、リバランスについてもプロに任せることができるのです。

複数の投資信託に投資する場合、投資信託間のリバランスは自分で行う必要がありますが、メンテナンスの手間を軽減する方法として投資信託の活用があることは知っておいて損はないでしょう。

まとめ:リバランスで堅実な資産形成を!

投資の世界では、高いリターンを目指すことも大切ですが、それと同じくらいリスク管理も重要です。本記事を通じて、リバランスの基本的な概念、重要性、そしてその実施方法についてお伝えしました。

リバランスとは市場変動による資産配分のズレを調整することで、長期にわたる安定した資産の成長を目指すための運用に欠かせません。やり方自体は難しくなく、目標より比率が上回っている資産を売却し、下回っている資産を購入すればよいのですが、売買コストや税金などの注意点もあるため、押さえておく必要があります。また、リバランスの頻度についてもいくつかアプローチがあるため、自分に合ったものを選択すると良いでしょう。

投資信託の利用は分散投資を行う上で重要なポイントとなりますが、投資信託が保有する銘柄については、リバランスを含めて運用をファンドマネジャーに任せることができます。一方で、複数の投資信託に投資する場合、それらのリバランスは自分で実施する必要があるため、本記事を参考に適切なメンテナンスを行いましょう。

リバランスは、ただ無作為に資産を売買する行為ではありません。自分のリスク許容度、投資目標、ライフステージを考慮した上で、より堅実な資産形成を目指すための手法です。市場は常に変動しているため、リバランスによってその変動に対応し、ポートフォリオの健全性を維持することは賢明な投資家として大切な行動と言えます。

投資に対して不安を持つ方も多いですが、リスク管理の知識は不安を取り除くことにも役立ちます。安心して投資を続けていくためにも、リバランスを上手く取り入れてみてはいかがでしょうか。

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