Flowing Life
とある休日の午後。
29歳の悠斗は、窓際の席でコーヒーを飲んでいた。
外の景色はいつも同じ。
それでも、彼はこの時間が好きだった。
特にやりたいこともなく、ただ何となく日々を過ごしているけれど、いまの自分を受け入れていた。
幼馴染の美咲とは、たまに連絡を取り合う。
美咲は、いつも目標に向かって突き進んでいる。
でも、悠斗は焦らなかった。
ある日、美咲から「もっと色んなことを経験した方がいいよ」と言われた。
悠斗は、にっこり笑って「いまのままで十分楽しいよ」と返した。
美咲は少し驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。
悠斗は、窓の外の風景を見つめながら考えた。
音楽を聴くこと。
本を読むこと。
コーヒーを、ゆっくりと味わうこと。
自分が好きなことは、それなりにあるし、それらを当たり前にできることに感謝したい。
壮大なやりたいことがなくても、毎日を大切に、自分のペースで生きることができれば、それでいいのではないだろうか。
そうやって生きていく中で、新たな光を見つけたのなら、手を伸ばしてみればいい。
「別に、人生ってそんなに慌てなくてもいいんじゃないかな」
そう呟きながら、悠斗は温かいコーヒーをゆっくりと味わった。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?