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ひかり (冒頭)

毎朝、アラームの音で眠りから覚める。カーテンを開けると、グレーの空が広がっていた。

いつものように、回らない頭を無理やり動かしながら、朝の準備をする。

会社に向かう満員電車の中では、人に揺られながらも、無駄なことから意識をそらすためにスマホをいじる。

会社に着けば、言われた仕事を無難にこなしていく。

大きな不満があるわけではないが、ほんの少しだけ、虚無感に襲われる。

そんな毎日だ。


僕は、学生時代、陸上の長距離選手だった。

特に輝かしい成績はない。

ただ、走ることは好きだった。

その気持ちは、いまでもかすかに残っているため、休日の午前中にはよく走っている。

そのときに、必ずすれ違うおばあちゃん2人がいた。

一人は松葉づえをつき、もう一人はほんの少しだけ猫背にしながら、ゆっくりと散歩している。




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