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こういう授業でアルゼンチン人らしさは育つのか。

指圧をアルゼンチンで習っている。日本のものだし、実技中心ならば言葉の壁は問題ないだろうと2年コースに申し込んだら、意外と解剖学や理論の授業がしっかりあって苦労しながら勉強している。でもこれらの苦手な座学授業でアルゼンチン人がどんな風に学校で育つのかが垣間見れた気がする。

解剖生理学の授業は、最初、先生がダラダラダラダラ何時間も説明をしていて、「先生ってこれでいいのか??」と不信感満載でスタートした。ところがその後の質問コーナーでは、生徒が一斉に沢山の質問をして、それに解答をする先生はシャッキリ、明確で意外な変化。生徒からの質問の多さと、いい視点の質問力にもちょっと驚いた。Novioがいつも「分からないことは質問しないと、こちらの先生は自動的には教えてくれないからね。」と言っているのが、こういうことだったかと飲み込めた。

そしてそのあとに、3−4人のグループ討議の時間があり、グループごとの発表の時間がくる。クラスというのは先生が話して、疑問を解消して、グループによるアウトプットという流れで構成されているみたいだ。

このグループ討議と発表、わたしにはには苦痛でしかないが、参加者目線を離れて俯瞰して見てみると結構いい感じだ。

発表の仕方は、ある日は寸劇で、ある日はクイズだった。
寸劇は関節の動きを説明するという設定だったのだけど、あるグループは車と自転車が衝突する場面から演じて、ドクター役が被害者の関節が正常に動くかどうかを箇所毎に説明しながら披露した。ちょっとコミカルな演技を交えながら、ちゃんと専門的な解説もするのが素晴らしい。もちろんクラスも大盛りあがり。

クイズの時は、簡単なクロスワードパズルを設計して、作成グループが問題を出して、ほかのグループが答えて正解数を競うという趣向。例えばこんな感じで問題はホワイトボードに記載して、消化に関連する単語を答えさせる。

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問題を出す側は、「一番。それは咽頭から胃に続く約25センチの器官です。その器官は寝転んでいても食物を運送する機能を持ちます。」みたいな感じでヒントを出して「食道」を当てさせるわけ。当然スペイン語の単語でこれをやるから、わたしは親切なクラスメイトのグループに加わってほぼ見学する係。

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目的は授業のアウトプットなので、勝ち負けが重要ではないのだけど、当たり外れで十分にクラスが盛り上がる。さらにこのクイズを考えるグループワークは、本日の授業で習った器官や筋肉の名前を採用しなくてはいけないので、ノートを見直しながら作ることになり、復習効果も抜群。

驚くのは寸劇にしてもクイズにしても、みんなが発表をほんの20分くらいのグループワークで仕上げてしまう点。それだけこういう手法に慣れているということだ。
こういう授業を通じて、アルゼンチン人らしさというのは形成されていくんだなぁと感心してしまった。しっかり分かろうと思えば質問しなくてはいけないから、質問力が磨かれる。グループで意見を出し合い、工夫して伝える努力をし、習慣的に人前で発表することを重ねるから、物怖じしないで表現する力も育つのだ。

ダラダラ説明の先生の授業も、終わってみれば意外と充実。私にとっては解剖生理学の中身よりも授業の進め方がとてもよい収穫。

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