なんとなく、明確に

将来の夢なんて持っていなかった私も、気づけば大人になっていた。

物分かりが良かった私は将来の夢を持てなかった。どうせ芸能人にでもなれなければただの社会人だと、小学校の時から思っていた。

大学4年の今、普通の大学生として内々定を5つももらった。でも、どこにもいきたくないと思ってしまった。現実志向な私だが、自分に突き付けられる現実には目を背けたくなってしまった。本当にしたいことは、一体なんだったんだろう。

内々定者イベントの帰りに寄ったサンマルクで「なんだかなぁ」と検索をかけてしまう。そして、一番最初に出てきた記事をタップした。

何気なく読んだエッセイだった。でも、そのエッセイに心を打たれた。

そもそも私は出版社か新聞社に行きたかった。何かを内面から捻り出して生み出して、100%人の手で作られる文章に携わるような仕事がしたかったのだ。他の仕事には魅力を全く感じられないくらいにそう思っていた。

だが、それも違ったのだった。

私は文章を生み出したかった。自分がその作者となりたかったのだった。

でも、自分が作るのは無理だと気持ちを抑えていた。やりたいこととできることは違う。できるだけ良い高校に、良い大学に行き、良い企業に就職することが人生のレールに沿っているのだと思い込ませていた。

でもその何気なく読んだエッセイを読み、ひどく共感した。そして、吹っ切れたように私もこんな文章を書きたいと思ってしまった。

そのエッセイが掲載されていたサイトが、この場所だった。私も何かを表現できる人間になりたい。新規登録ボタンに指が動いていた。

22歳になって初めて、将来の夢を見てしまった。

やりたいことをやるために長い長い時間が経ってしまったけれど、今はなんとなく清々しい感じがする。がんばってみようかなって、思う!


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