〝今〟を映す、新たなお笑い。

先日、YouTubeで配信されていた東京03のリモート単独公演「隔たってるね。」を見ました。

感想を簡潔に言うと、

「見てない人は、見た方がいいですよ。」いや、本当に。です。

具体的になんでそう思ったんだよ!って思う人もいると思うので、詳しく考察してみます。

私は元々、東京03のコントが好きです。

彼らのいい意味で、「どこにでも居そうな」出で立ち。そして彼らのいい意味で、「見た目の地味さ」を存分に活用する、〝日常〟の一場面を切り取り、これでもかと深堀りするコントの内容。

ネタの舞台となるのは、会社の同僚と先輩が集まる居酒屋の席だったり、レストランの客と店員、はたまた父と母とその子のいざこざなど、

ほらどれも普段の生活の場面にもある、何気ない一コマなんです。

でもそこからの話の広げ方が素晴らしい。

友人と話していて、引っかかってしまう言葉の選び方とか、家族と話していて可笑しいなと感じてしまう相手の癖だとか、〝何気ないポイント〟に焦点を当て、そこから物語を進めていく。

笑いのポイントも花火のようにドカンと打ち上げられるものではなく、話の流れからなだらかな山のように、自然な流れで登場します。

漫才などで感じる、やりとりのスピード感、ボケの爆発力、ツッコミの瞬発性ではなく、

東京03のコントは〝1つのエピソードから自然な流れで誕生する笑い〟を感じることが出来るのです。

だからこそコントには〝時間〟がキーアイテムになると思います。

漫才はやはりスピード感が大切になり、〝笑い〟というピークをいかに早く、そして大きくするかが重要ですが、

東京03のコントはリアリティを求め、話の流れとともに自然な笑いを提供できるようなセリフや動きなどを少しずつ盛り上げていくことで、自然に笑いのピークに達します。

やはりそれには〝時間〟が必要。

実際、東京03のコントは長尺のものが多いです。

20分を超えるものがザラ。

でも東京03のコントは長尺であることに1つの魅力を感じます。

瞬間の笑いを作る漫才とは異なる方法で笑いを届けるコント。奥深いですね。

** おっと、〝コント〟という概念について少し話しすぎてしまいました。では本題に入りましょう。**

今回のリモート単独公演「隔たってるね。」は、新型コロナウイルスで開催が延期となってしまった単独公演の代わりとなるものを何か出来ないかと、東京03のネタ作り担当である飯塚さんが、自粛期間中に「リモートでできるネタを」と考えたものを同じく東京03の豊本さんと角田さんとでネタを詰め合わせ、形にしたものです。

〝リモート単独公演〟さる事ながら、普段の単独公演と形式は同じく、公演タイトルを設定したり、ネタとネタとの間にはオリジナルの(そのネタに関わる)音楽が差し込まれていて、その完成度はとても高いものでした。

そのなかで私が感激した部分は、ネタの内容です。〝リモート公演〟ということで、コントの舞台はリモート飲みをする同僚やリモート会議をする部下と上司など。新型コロナウイルス拡大により、一変した私たちの生活の〝今〟を切り取り、そこから笑いを届ける。

新たな方法で、新しい笑いを届けるその姿がとても眩しく見えたのです。


そしてただただ面白かった。

どこが面白かったのかと聞かれると、その答えはネタバレになってしまうので、ぜひYouTubeでご覧下さい。(アーカイブ残ってますよ。)


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