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SLOW CHANGE日記-盛岡の歩き方とアマチュア性について

開閉にひと手間かかるリュックサックを買った。

先日買ったリュックは、もうとてつもなく可愛くて、気に入っている。帆布でできていて、絶妙な黄色で、部分的に革が使われていて、自分の好みドンピシャだ。ただ、リュックの口は少し縦長にできていて、折り返してバックルで留めるタイプだ。バックルもワンタッチのものではなく、革製の腕時計のように、穴を通して留めるタイプ。そのデザインが気に入ったわけだけれど、以前の私だったら、この1ステップを敬遠して,買わなかったかもしれない。
三十代後半に差し掛かり、野菜の苗を育てたり、室内用の植物に水をやって愛でたりしている効果なのだろうか、リュックのバックルを留めるひと手間の動作もちょっと好きになってきていて、以前なら使えなかったかもしれないこのリュックを、使うことができるな、と思って買えていることに自分でも驚く。ま、ちょっとだけめんどくさいなとは思っているのだけれど。

岩手に移住した一年目は、自分が欲しいものを買い物するプロセスがうまく選べないと嘆いていた。ただ漫然と「新宿に行こう」と行き先を選んで目的を達成していたときとは違い、あらかじめ目的物を設定した上で行き先を選びハンティングしにいく、そんな体制を選ばなければいけないことに少し苛立ってもいた。

しかし最近買い物は、もっぱら盛岡でしているし、その買い物の満足度がとても高い。美容院が定まったらもう浮気せずにすんでいるように、お気に入りのお店やルートが、大体決まってきたのだ。好きだなって思ったり、直感で良いなと選ぶものに自信が持てるようになってきたのもあるかもしれない。

盛岡の歩き方


紫波中央駅はSuicaが使えないので、盛岡へは片道330円の切符を買って東北本線に乗る。焦って飛び乗るときは駅員さんに乗車証明書をもらうのだけれど、あまりに急いでいるときは貰わずに乗ってしまって、果たして改札を出られるのだろうかと不安になりつつ、盛岡駅で駅員さんに「紫波中央駅からです」といって330円支払ったらすんなり通れた。前にいた学生は1000円以上の金額を支払っていたし、どうやら性善説で成り立っているようだ。
切符を買うこのひと手間も、リュックのバックルに、どこか似ている。

私が盛岡にくる理由はたいてい「映画」か「書店」か「目的のある買い物」で、その目的地はたいてい駅から多少離れている。

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「移住にまつわる変化」をテーマに、自分の生活や創作にまつわる話、東北の地、岩手・紫波町で出会った面白い人とのおしゃべりなど、自分がひっそり書き溜めていることを少しずつ公開していきます。 私は日々、日記をこっそり書いては発表・公開するまでだいぶ寝かせる傾向があるのですが、もっと日々思うことを軽やかに書いていきたいと思います。 「がんばれ」の応援の気持ちで定期的にチャリンとしていただけたら泣きます。 1ヶ月に2回以上更新予定、月額500円です。

30代後半でフリーランスとして働いていた私が、東京都・中野区から、縁もゆかりもない岩手県・紫波町へ引っ越してきた。 「一から土を作る」とい…

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