SLOW CHANGE日記-世界線と言語習得
先日、「エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス」という映画をみた。一度見た予告編のあまりのカオスさを忘れられなくなってしまって、これは絶対みようと決めていたのだった。
「マルチバースもの」、いわゆる、あのときこうしていたら、というパラレルワールドというのは無数に存在していて、そこを行き来できる世界の話……というのは近年もうまったく珍しくない類の映画のようだが、「マトリックス」すら見たことのない私にとってははじめましてのジャンル。
映画のストーリーをなんとか辿りながらカオスをくぐり抜けた後、エンドロールで頭がスッとしはじめた頃、「あのときこれを選んでいたら……」という選択肢の可能性について、一つの行動の変化によって違う未来を歩いている自分がいるかもしれないこと、それを思った時に自然と考えたのは「私がチェコ好きでなかったら」ということだった。
たとえばアメリカに住み続けているとか、タイにはまってタイ語を話しているとか、不思議と考えたのは、言語や居住地のことで、仕事や人間関係のことは、不思議と考えていなかった。そう思うと、言語習得って可能性の塊なんだなと思う。どんな国でも、チェコじゃないどこかを好きになっていたり、チェコだとしてもそこに住みたいと思っていたならその国の言語をもっと真剣に習得しているだろう。そう思うと、どんな言語が話せるか、たとえば私が今話せている「英語が話せず、日本語しか話せなかったら」、今とはまた違った現在があるはず。
自然と、どんな道を選んでいたとしても、どこかで「はんこ」とは出会っていた気がするなと思っている。それを職業にするかしないかは、また別問題だとしても。
映画を見た数日後、盛岡のBOOKNERDさんが主宰したイベントで、翻訳家の柴田元幸さんの翻訳教室に行った。
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SLOW CHANGE -移住とゆるやかに変化していく生活
30代後半でフリーランスとして働いていた私が、東京都・中野区から、縁もゆかりもない岩手県・紫波町へ引っ越してきた。 「一から土を作る」とい…
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