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時をかける父と、母と

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若年性認知症の父と、がんで逝った母について、30代の私が記録したエッセイ。幻冬舎×テレビ東京×noteのコミックエッセイ大賞にて準グランプリを受賞。
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2020年1月の記事一覧

認知症のなかで「確かなもの」ーNHKスペシャルを見た

Where are you? Where am I? Where is Mizuko? 「あなたはどこ?私はどこ?瑞子はどこだ?」 認知症医療の第一人者であり、「痴呆症」という呼称を現在の「認知症」に変えることを提唱した人でもある、長谷川和夫さん(90)が、自身が認知症になったあとの日記に出てくる言葉だ。瑞子は長谷川さんの奥さんである。 「生きている上での確かさが少なくなってきたように思う」ーと、長谷川さんは繰り返す。曜日が曖昧になり、予定が把握できなくなり、行き慣れ