「相手を喜ばせるよりも、まずは自分をごきげんに」 とみこさんに聞く、夫婦の“ちょうどいい”暮らし方
コロナ禍をきっかけに、一気に普及が進んだリモートワーク。緊急事態宣言が解除された今もリモートワークを継続する企業は多く、働くスタイルの選択肢としてスタンダートになりつつあります。
そんな中、一緒に住むパートナーとの関係性に変化が起こっている人も。「一緒にいる時間が長くなってパートナーとケンカが増えた」「そもそも、2人で在宅勤務をするのは不便でイライラする!」という声が聞かれるようになりました。
パートナーとおうち時間を楽しく過ごしている人に、暮らしの工夫をぜひ聞いてみたい。そこで、今回はライフスタイルメディア『cocorone』編集長を務めるとみこさんにお話を伺いました。運営しているメディアにとどまらず、ご自身のSNSアカウントでも日常に取り入れたくなる素敵な暮らしの発信や、旦那さんとのほっこりエピソードが人気です。
ご家庭で日ごろ大切にしているルールや、コミュニケーション方法などなど。パートナーと暮らしを楽しむ秘訣について、たっぷりお聞きしました!
とみこさんプロフィール|1989年生まれ。「あなたの毎日に、小さな“素敵”を添えて」をコンセプトに、うつわで彩る暮らしを発信するライフスタイルメディア『cocorone』の編集長。フリーランスでPM、編集、SNSマーケなどに携わる。SNSの総フォロワー数は約6万人。SNSを楽しみながら続けるためのコミュニティ『SNSバルコニー』では、個人アカウントの運用のアドバイスも行う。Twitterアカウントはこちら
夫婦ともに在宅勤務になっての変化
ーコロナの影響でご夫婦おふたりとも在宅勤務になったと伺いました。なにか困ったことはありましたか?
そうですね~、仕事面で不便に思うことはあります。私はフリーランスなので以前から自宅で仕事をすることも多かったのですが、今は夫も在宅勤務。同時に会議が入るとWi-Fiが重くなったり、1LDKの間取りなのでお互いの声がじゃまになってしまったりとか。
ーWi-Fi環境と作業スペースで悩んでるご夫婦、たくさんいそうです。
Wi-Fiは買い換えようか検討中です。作業スペースについては最近「自宅フリーアドレス制」を取り入れてみました!
ー「自宅フリーアドレス制」……?
うちにはいわゆるデスクがないので、基本はリビング用のテーブルで並んで作業してて。同じ部屋にいて会議の時間がかぶるとやりづらいので、試しにソファに移動して仕事してみたら意外とはかどったんですよ!
写真奥がリビング、スライド式の扉を挟んで手前にソファが。素敵なおうちです……
ーああ、おうちの中でも、作業場所を変えてお仕事されているんですね!
はい。それからは1日に何回か家じゅうを移動して仕事するようになりました。飽きたらベッドでごろんとするときも……あります(笑)。
私は集中力がそこまで続く方じゃないので、作業場所をちょこちょこ変えてみるのが合ってるんですよね。
ーご自分のスタイルをわかっているからこその解決策ですね。
とみこ家の基本運用は「尊重」と「情報共有」
-旦那さんと家で一緒に過ごす時間が増えて、おふたりの関係性には変化がありませんでしたか?
うちは特に変化はない気がします。
-在宅勤務で一緒に過ごす時間が増えると、ケンカが増えてしまうケースも多いそうなんですよね。おふたりの仲良しの秘訣はなんなのか気になります……!
そうですね、まずはお互いにひとりの時間を適度につくるようにしています。
私はSNSタイムが息抜きで、彼はゲームをするのが息抜き。仕事と夕飯を終えてから寝るまでの2時間くらいは、お互い別のスペースで好きなことをやっています。特に「ひとりの時間を持とう」と決めたわけではないんですが、お互いが快適に過ごすための習慣みたいになってますね。
-たしかにひとりの時間って大切。お互いのやりたいことを尊重しているんですね。
それから、夫婦専用Slackをつくってます! ちょっとした事務連絡はLINEで送り合ってますが、共通で使っているパスワードなど、ストックしておきたい情報は残しておけるようにしてるんです。
-夫婦専用Slack、かなり実用的で便利そう! ほかにはどんなことをストックしているんですか?
会員情報から、買い出しのリスト、お金を立て替えたときの精算メモまでいろいろあります。最近はハーブを育てたいなと思ってて、園芸チャンネルも追加しました!
行ってみたいお店も見返しやすいし、なにかひとつ日用品を買うにしても、いろいろと候補をリストアップしておくと比較検討しやすいんですよね。夫がリサーチ上手なので、とても活躍してくれています(笑)。
とみこ家「夫婦専用Slack」チャンネルのラインアップをご覧あれ。
-チャンネルの充実具合がすごすぎる。
「正反対」だからこそ、伝え合って、補い合う
-とみこ家はめっちゃ情報共有してるんですね……! どうしてここまでやろうと思ったんですか?
私と夫って、本当に性格が正反対で。血液型もB型とA型だし……これは関係ないかもしれないけど(笑)。全然違うタイプだとお互いが認識してるので、「言わなくてもわかるはず」なんてありえない。とにかくなんでもシェアするように心がけています。ふだんの会話でも、お互いの要望は言葉にしてちゃんと伝え合うようにしていますね。
-違うからこそ、情報や伝えたいことをシェアするようにしていると。でも、意見が違うことに対してイラッとしたり、ネガティブな感情を持ったりしません?
たしかに、自分が考えもしなかったことを取り入れるときは慣れないなぁと感じます。でも、もともと真逆だったのでむしろ「ちょうどいい」なって。お互いの苦手を補い合えるという点では、相性がいいなと思ってます。
-「ちょうどいい」って、素敵な表現ですね。
夫はあまりモノを持たずスッキリした暮らしが好きなんですが、私は欲しいものはすぐ買ってしまうタイプ(笑)。
必ず1足捨ててから新しい靴を買うようにするとか、事前に置けるスペースを用意しておくとか、そういう発想は自分には全くなかったんです。一緒に住むようになって、私もいい意味で影響を受けてモノを減らすようになりました。
家事もそうなんですけど、私は料理がすごく好きで、掃除はあんまり得意じゃない。彼は逆で、料理より掃除や整理整頓のほうが好き。それぞれの得意分野で補い合ってる感覚がありますね。
-お互いのいいところを取り入れながら暮らしているのが伺えます。ケンカなどはめったになさそうですね。
もちろんぶつかるときもありますし、私の意見に「えぇ~」って渋い反応をされることもありますよ。でもそのときは、譲れないポイントをお互いに話し合って、妥協点を見つけられるように話し合いますね。
まさに今、中古物件を買ってリノベーションをしようって話をしていて、けっこう意見がぶつかってます……! 結婚式はわりと私の自由にしていいよって感じだったけど、やっぱり長く住む家となると、向こうも譲れない部分が多いみたいで。
-なるほど~。議論ポイントになってるのはどんな点ですか?
私は家の中でSNS用の写真を撮ったり、インスタライブをやったりするので、デザインにこだわりたい派。一方、夫は機能性を重視していて。
例えば、私はキッチンをモルタル素材にしたいと言ってるんですが、彼はシステムキッチンにしたがってるんです。料理がしやすいし、メンテナンスがしやすくて「長く使える」点に魅力を感じてるみたいで。やっぱり価値観の違いが出ますね。
-とみこさんはデザインの好みを大切にする一方、旦那さんは現実的な志向なんですね。
たしかに、彼はすっごく現実的。だから最終的にこっちが折れることも多いです……(笑)。でも、「じゃあそこは譲るから、ここの部分だけは譲ってね」みたいな交渉もしています。
-「モルタルがいい」「システムキッチンがいい」と、お互いの意見をぶつけ合うばかりだと、いつまでも話が平行線になってしまいそう。旦那さんがちゃんと「長く住むなら長く使えるものを」と理由をお伝えしてくれるから、とみこさんも譲歩点が出しやすいのではないかなと思いました。
たしかに、夫は自分がなぜそう思うか理由をちゃんと説明してくれますね。だからこそ、対等な関係としてお互いの意見を言い合えているなと思います。
仲良くおうち時間を過ごすために、まずは自分をごきげんにする
-とみこさんは、プライベートなおうち時間では最近なにをされているんですか?
最近、ケーキづくりにすっごくハマってるんです! お菓子づくりって、正しい分量を守ってレシピ通りの手順でつくらないとうまくいかないから、ちょっと苦手だったんですよ。でも、時間にゆとりができたし、ケーキ屋さんに買いに行きづらくなっちゃったのもあって、自分でつくってみようと。お手製のレモンケーキをよく食べています。
とみこさん作レモンケーキ。美しい……
-ケーキづくり、いいですね! とみこさんの写真から、毎日の暮らしを楽しむ気持ちが伝わってきます。
最近気づいたんですけど、まずは「自分をごきげんにすること」ってすごく大事だなって。
ケーキをつくるのも、「彼を喜ばせたいから」ではなくて、ただただ、自分が食べたいからなんですよね。自分が喜ぶことを毎日ちゃんとしてあげて、ごきげんでいることが、夫との関係にもいい影響を与えているのかなって。
つくったケーキを「食べる?」って聞いても「今日はいらないや~」って言われることもあります。でも私が食べたくてつくったんだから、まぁいっかみたいな(笑)。相手に期待せず、押しつけないことが仲良く過ごせてるコツかも……って話しながら思いました。
-「彼のために」と思ってつくっていたらガッカリしちゃいそうな場面ですね。まずは自分をごきげんにするって、ふたりの関係性をよくするためにすごく大切なポイントのような気がします。
そう言ってもらえて嬉しいです! 夫も、外出自粛前はたまにスイーツを買ってきてくれてましたね。でも、それもあくまで自分が食べたいからであって、「私の分もあったら食べるかな」くらいのトーンで買ってきてくれる。そのスタンスが私にとっても気楽なので、お互い快適でいられるのかもしれません。
気合い入れておしゃれなお店のケーキを買ってきたりはしないですけど、仕事の帰り道にコンビニでシュークリームを買ってきてくれて、ふたりで一緒に食べる。そんな時間がすごく楽しいですね。
自分がやりたいようにやって、相手も喜んでくれたらさらにハッピー。そのくらいの気持ちでいるのがちょうどいいな、って思います。
とある日のとみこさんのツイート。
「今日のご自愛」、素敵な習慣です。
インタビュー中にとみこさんから何度か語られた、「ちょうどいい」という言葉が印象的でした。相手に期待せず、押しつけず、かといって自分が我慢したり無理をしたりしすぎない。そんな自然で等身大なふたりでいることって、簡単なようで実は難しいことだと思うのです。
「君のためを思ってるのに」
「私のこと全然わかってくれない!」
パートナーについイライラしてしまったときは、ちょっと息を抜いて、まずは自分のために、自分を喜ばせてあげる。そして、ふたりの“ちょうどいい”暮らし方を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
取材・文:村尾 唯(@yui3x9)
編集:すきだよ編集部
写真協力:安久都 智史(@as_milanista)、とみこさん
▼とみこ家の「夫婦専用Slack」についてはこちらのnoteで詳細をチェック!
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「ふたりの教室」は、パートナーと人生を歩むにあたり抱える不安や悩みを一緒に解決していきたいと思っています。サポートは記事制作費用に使わせていただきます!https://community.camp-fire.jp/projects/view/224147