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調香師マンガ〜グラースへの道〜序章

こんなに香水市場が盛り上がってるんだから、そろそろ調香師を主人公にした漫画が出ても良いと思う。
主人公は両親を失い、自然に囲まれた片田舎で祖父母に育てられた少年。ある日亡き母と同じ香りのする老婦人に出会ったことをきっかけに、運命の歯車が回り始める‥‥みたいな。

ライバルは、調香師一族のサラブレッド、スラムから成り上がった男、名門一族の御曹司である激イケメン、など。

物語の中盤で、主人公は、ある事情により有名ブランドの新しい専属調香師を決めるコンペに参加する訳ですよ。
「今回の調香テーマは『水』だ」
「なんだ、簡単じゃん」
「そうでもないさ」
「え?」
「水をテーマにした世界で初めての香水は、1992に発売されたイッセイミヤケのロードゥ イッセイと言われている(〜中略〜)要は水をイメージした香水は市場に出尽くしているということさ」

‥という感じで、香水に関する知識もちゃんと付きます。

第一話はこんな感じ。

〜〜
主人公の薫は、自然豊かな田舎に住むごく普通の少年。ただし匂いに敏感なところだけちょっと変わっています。母を亡くし、父は不明、おまけに明らかに純日本人ではない風貌。軽くいじめられたりしつつも、祖父母の愛に包まれて、のびのびと育っています。
そんな中、主人公はたまたま用事で都会に出掛けることに。普段馴染みのない香りの洪水に圧倒されていると、不意に、幼い頃の記憶にある香りが。それは、亡き母が付けていたラベンダー香水の香り。思わず「母さん」と声を掛けると、振り向いたのは明らかにお金持ちの老婦人でした。この香りが母の手掛かりになると直感した主人公は老婦人に香水の名前を教えてほしいと詰め寄ります。

薫は自分の母親についてほぼ何も知りません。薫の母親は高校を卒業するとすぐに家を出て音信不通に。実家に戻った時は妊娠していましたが、相手が誰か告げることなく出産。その後、薫が幼い頃に事故で亡くなります。

薫の熱意に気圧された老婦人は、自分が宿泊しているホテルを教えます。薫が指定された時間にホテルを訪ねると、老婦人は一つの香水を主人公に差し出します。
「違う、これじゃない。」
「違う筈はないわ、同じ香水よ。」
「いや違う、母さんの香水はもっと複雑な香りがした」
そんなやり取りをしたあと、老婦人は諦めたように奥の部屋から小さい香水瓶を持ってきます。
「じゃあ、これは?」
その香りを嗅いだ瞬間、薫の目から一筋の涙が伝います。それと共に、走馬灯のように母との幸せな記憶が蘇ります。
「これです‥」
「これは『永遠の愛』という名前の香水よ」
老婦人が話します。
「これは、ラーゲンという世界で最も高級な香水メゾンが、ブランドの創立200年を記念して作った香水なの。上顧客20人だけに売られる予定だったのが、業界で評判になって、ほとんど香水関係者が自分用に買い占めたと聞いているわ。私の夫は香水のバイヤーで、たまたま嗅いだこの香りに衝撃を受け、何とかツテを辿って少量だけ手に入れたの。
最初にあなたに嗅がせたのも、同じ名前の香水よ。でもこれは似て非なる香水。『永遠の愛』が高評価だったことに気を良くしたラーゲンが、同じような香調で、香料のグレードを落として作ったの。香水の世界では良くあることだわ。」
「そんな貴重な香水を旅行先に持ってきたんですか?」
「今日は夫の命日なの」
「‥」
「この香水は、夫が結婚の記念に私に贈ってくれた香水なの。普段は別の香水や一般販売されているこちらを使っているけど、夫の命日だけはこれをつけると決めているの。だから声を掛けられた時にはびっくりしたわ。」

長居していることに気づいた薫は席を立ちます。

「ありがとうございます。母のことを思い出して幸せな気持ちになりました」
「これを持って行きなさい」
「え?」
「私はこの香水を嗅ぎ分けることができない。それに私はこの香りがなくても夫のことを思い出せる。でもあなたにはこれしかないんでしょう?
あなたには調香師の資質があると思う。あなたのお母様がこの香水を持っていたなら、おそらく私の夫のような業界関係者よ。調香師になってラーゲンと関われば、何かお母様のことがわかるかもしれない」

薫は、夜の街を歩きながら誓いました。調香師になって、母のことを、自分の出生の秘密を探るのだ、と。

ということで、ちょっと展開が強引ですが主人公は調香師を目指すことになります。

作品のテーマは香りと記憶。

薫は無事、一人前の調香師になれるのか!?薫の出生の秘密とは!?薫の作る究極の香水は⁉︎

第一部は修行編(@東京)
第二部は対決編(@パリ)
第三部は究極の香水編(@グラース)

です。
‥ということで、存在しない調香師マンガについて、コツコツとあらすじをアップしていきたいと思います。

続きはこちら。


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