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企業再生メモランダム・第29回 第5回勉強会 マーケティング 後編

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

「企業再生メモランダム・第28回 第5回勉強会 マーケティング 前編」では、「第5回勉強会 マーケティング」と題したメモの背景とメモの中身の一部について記載をさせてもらいました。

後編では、残りのメモの中身について、ご紹介したいと思います。

メモ「第5回勉強会 マーケティング」の中身

2.マーケティングマネジメントプロセス

(1)マーケティングマネジメントプロセス

コトラーは、「マーケティングマネジメントプロセスとは、① 市場機会を分析し、② 標的市場を選定し、③ マーケティング・ミックス戦略を開発し、④ マーケティング活動を管理していくことである。」と定義しました。

(2)市場機会の分析

経営戦略の回に説明したSWOT分析や3C分析などを用いて市場分析を行います。行政発表の統計資料なども活用すると良いです。

(3)標的市場の選定

① マス・マーケティング

市場の消費者のニーズを単一なものと考えて、同じ製品を大量に投入していくマーケティング手法です。昨今の消費者の価値観や嗜好が多様化しているため、消費者の個々のニーズに製品を適合させることは困難となっています。

② ターゲット・マーケティング

市場を細分化(マーケット・セグメンテーション)し、その細分化された市場の中で最も適切な市場をターゲットとし、その標的市場に対して最も効果的なマーケティング手段を投入していくマーケティング手法です。

(4)マーケット・セグメンテーション

マーケット・セグメンテーションとは、市場を一定の規模を保ちながら、かつ同質的なニーズをもつ消費者の集合に区分していく手法です。

マーケット・セグメンテーションの基準は、① 地理的基準(地域、気候や人口密度など)、② 人口統計的基準(年齢、性別、所得、職業、学歴、宗教、国籍)、③ 心理的基準(消費者の価値観やライフスタイルなど)、④ 行動変数基準(=消費者の製品に対する知識、態度、使用、反応などに焦点を当てて細分化する方法、付加価値、使用率、ロイヤルティなど)があります。

また、マーケット・セグメンテーションの要件は以下のとおりです。

① 測定可能性
細分化された市場の規模と購買力を容易に測定できること

② 到達可能性
細分化された市場に効果的に到達し、マーケティング活動が行えること。

③ 維持可能性
細分化された市場が十分な規模をもち、対象とするに足る十分な利益が得られること。

④ 差別化可能性
セグメントが概念的に区別でき、マーケティング・ミックス要素とプログラムが異なれば、それに対する反応も異なること。例えば既婚女性と未婚女性が香水販売に同様の反応を示すようなら、この両者は別々のセグメントを構成することにはならない。

⑤ 実行可能性
細分化された市場を引きつけられる効果的なプログラムが実行可能であること。

(5)マーケティング・ミックス

マーケティング・ミックスとは、マーケティングの4P(Product、Price、Place、Promotion)のことで、以下のような特徴があります。

① 製  品(Product)
製品の物的性質、品質、ブランド、保証、パッケージ、アフターサービス、製造・販売する製品の種類

② 価  格(Price)
価格政策、価格設定法、価格変更の理由と時期、値下げ、割引

③ チャネル・物流(Place)
流通経路、流通業者の選定、流通業者の評価、倉庫の数・立地、倉庫の設備、輸送手段、運送頻度、適正な在庫量

④ プロモーション (Promotion)
広告目的、広告予算、広告媒体、広告表現、広告効果測定、販売員の人数、販売員の教育訓練、販売員の業績評価、販売促進の種類・展開方法、パブリシティの目的・対象・実施方法

3.マズローの欲求段階説

マズローの欲求段階説とは、心理学者アブラハム=マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものです。

① 自己実現欲求
自己実現の可能性を追求し、本来あるべき自己の姿を実現したいという欲求。

② 尊厳欲求
他人からの承認を得たいという欲求。出世など。

③ 社会的欲求
良好な人間関係、集団への帰属など。

④安全欲求
危険から身を守り、安全を得たいという欲求。安全な職場・家屋など。生理的欲求 食べる、飲む、眠るといった動物の基本欲求。適切な温度・湿度、給料など。

4.イノベーター理論

イノベーター理論とは、イノベーション普及に関する理論で、商品購入の態度を新商品購入の早い順に五つに分類したものです。

① イノベーター(Innovators:革新者)
冒険心にあふれ、新しいものを進んで採用する人。市場全体の2.5%。

② アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)
流行に敏感で、情報収集を自ら行い、判断する人。他の消費層への影響力が大きく、オピニオンリーダーとも呼ばれる。市場全体の13.5%。

③ アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者)
比較的慎重派な人。平均より早くに新しいものを取り入れる。ブリッジピープルとも呼ばれる。市場全体の34.0%。

④ レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者)
比較的懐疑的な人。周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする。フォロワーズとも呼ばれる。市場全体の34.0%。

⑤ ラガード(Laggards:遅滞者)
最も保守的な人。流行や世の中の動きに関心が薄い。イノベーションが伝統になるまで採用しない。伝統主義者とも訳される。市場全体の16.0%。

5.AIDMAモデル

AIDMAモデルとは、消費者が広告などの刺激を受けてからその製品を購買するまでの心理的な過程を段階的に捉えたものです。効果的な広告を作成するためには、このプロセスが重要です。

① Attention(ある製品の存在に気づかせる。)
② Interest(その製品に興味をもたせる。)
③ Desire(その製品を欲しいと思わせる。)
④ Memory(その製品を記憶にとどめさせる。)
⑤ Action(その製品を購買させる。)

<ご参考>グロービス経営大学院「グロービスMBAマーケティング」



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介

 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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