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企業再生メモランダム・第37回 チェンジマスターと変革型リーダーシップ

「企業再生メモランダム」では、私が、20代の時に、複数の会社の企業再生に従事する過程で作成したメモを題材として、様々なテーマについて記載していきます。

メモの28枚目は8年前に作成した「チェンジマスターと変革型リーダーシップ」と題したメモです。

メモの背景

私は20代半ばの時に、対象会社のある地元に移り住み、ターンアラウンドマネージャーとして企業再生に従事しました。

対象会社の企業再生ですが、経営成績で言うとV字回復をしたように思いますが、最終的に、より本質的な組織と人の再生という観点からは、約5年もの時間を要したように思います。

私は人生で初めての地方での生活だったのですが、東京と違って、夜に娯楽があったり若手経営者同士のコミュニケーションがあったりするわけではないので、ひたすら本を読むなど勉強に時間を費やすことができました。

20代前半は、経営学修士(MBA)で学ぶような経営戦略、マーケティングやオペレーションなどのマネジメント・スキルに関する本ばかりを読んでいたように思いますが、ここでの生活では、組織、インテリジェンス、そして、リーダーシップに関する本を沢山読むことができました。

ハーバード・ビジネススクールのジョン・P・コッター教授や一橋大学名誉教授の伊丹敬之先生の本などは、それこそ全巻買って読みました。企業再生の仕事に従事している方には、この両名の本は、実務家でも非常に納得度が高く読め、オススメします。

他にも、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院名誉教授のエドガー・H・シャインや同じくMITのピーター・M・センゲ教授の本なども大量に読んだと思います。

特にMITのオットー・シャーマー博士の「U理論」、ジョセフ・ジャウォースキーの「シンクロニシティ」には感動しました。後者の「シンクロニシティ」を読んだときには、特に心に刺さるものがあり、このような気持ちになった本は人生で他にはなく、特別な一冊になりました。

変わった本だと、佐藤優さんの本、CIA、モサド、陸軍中野学校に関する本、外交分析に関する本などインテリジェンスに関する本も沢山読んだように思います。

ここで学んだ知識が、実体験とともに、血肉となったのが、対象会社の企業再生だったように思います。

また、別連載「リーダーと考える経営の現場」「第14回 リーダーシップの旅 前半」「第15回 リーダーシップの旅 後半」でも記載させてもらったように、私が大きく視点の転換を迎えることができたのは、この企業再生での体験を通じてです。

対象会社の企業再生を一緒に実現してくれた仲間たちには心から尊敬と感謝をしていますし、また、真っ当な経営改革に対して嫌がらせをするなど、「人間の弱さ」を見せてくれた人たちにも同じように感謝をしています。後者に関しては、決して厭味などではなく、人間とはどういう生き物か、人間の本質とは何かを知ることができたことに、心から感謝しています。

若い時の苦労は買ってでもせよということわざがありますが、私の場合、自らが苦労を求めたわけではありませんが、このように20代で貴重な体験をすることができたことは幸運なことだったと、今、不惑近い年齢になって、改めてそう思います。

メモ「チェンジマスターと変革型リーダーシップ」の中身

<チェンジマスター>
1.リスクにチャレンジすることになるので、抵抗や反対に遭いやすい。賛否両論。
2.外部の人々への働きかけが要る(自分の部門だけで閉じない)。
3.資金的にも、予算に収まりきらない。追加的資源を探し求め、捻出する。
4.制度的に決められた予算の入手経路以外にもアプローチする。
5.経営上層からスポンサーシップ(支援)を勝ち取る。
6.他部門の同僚から支持や応援・理解を取りつける。
7.情報量が多い。
8.自分の率いるユニット内外の専門家の知恵をうまく使っている。
9.プロジェクトにかかわるキーパーソンの範囲が広い。
10.その目標は上から与えられるというより、自分で自律的な編み出したもの。
11.一見いろんなところに働きかけ、組織の秩序をかき乱しているようだが、彼らこそコラボレーティブな管理スタイルで特徴づけられる。
<変革型リーダーシップ>
1.戦略的ビジョンの提示・浸透
2.環境探査(スキャニング)と意味づけ
3.実験的試行の奨励(革新的トライアル)
4.実施時の極限追求
5.フォロワーの成長・育成
6.コミュニケーションとネットワークづくり
7.エモーションへの対処



本連載は事実を元にしたフィクションです。

株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介
 2013年3月に、新卒で入社したソーシャル・エコロジー・プロジェクト株式会社(現社名:伊豆シャボテンリゾート株式会社、JASDAQ上場企業)の代表取締役社長に就任。同社グループを7年ぶりの黒字化に導く。2014年12月に株式会社スーツ設立と同時に代表取締役に就任。2016年4月より総務省地域力創造アドバイザー及び内閣官房地域活性化伝道師。2019年6月より国土交通省PPPサポーター。

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