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君は世界を救う人だ

息子殿の趣味は 陶芸である

ある文化教室で 大人に混じって中学生頃から 始めた

その陶芸教室では 年に一度 作品展が開かれ

生徒は各自作品を一点だけ展示できる

息子が この「Beautiful Day」という作品を展示して
会場当番をしていた日の事である

会場には 誰もおらず 当番も息子一人だったとき
一人の高齢の紳士が会場にあらわれ 作品を丁寧に一点一点鑑賞し始めた

その紳士は 息子の作品の前で足を止め 暫く作品を眺めてから 息子の方へ歩み寄り こう尋ねてきた

「あれを作ったのは 君かね?」

息子「はい そうですが…」

すると この紳士は こう 語ったのである

「君は 世界を救う人だ」

息子はこの言葉に あっけにとられてしまい 返す言葉も見つからぬまま この紳士を見送ったそうだ

家に帰って 息子は今日 不思議なことを言う人にあったよと 私に話してくれた

「あ~~ なるほどねぇ 分かる人には 分かるんだ」
と 私は思った

息子は 大衆に迎合するセンサーが 無いように思うのだ 本人は みんなと一緒 自分はみんなと一緒と思っているようだけど 誰もいかないところを平気で歩いていくタイプのように 前々から思えるのだ

成績は良くなかったが 発想は いつも 奇抜で理解しがたかった

それは どうやら みんなと違う見方ができる
違う見方しかできないところに 人類を救う鍵が隠されているということなのかもしれない

うすうす感じていたモヤモヤの霧が 晴れたような気分にしてくれた この紳士に 私はとても御礼が言いたかった

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