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ママ業=①気分屋スターのマネージャー

子育てにおけるママ業は、その役割百面相。ときに鬼コーチ、ときにサンドバック、ときにカウンセラー、ときに友人…などなど。

なかでも際立って頻出する役割が「気分屋スターのマネージャー業」だ。

我が子は3歳と1歳。
とくに3歳はいやだと言いだしたら聞かず、不機嫌をいかに切り替えさせ好機嫌に持っていくかが重要。法事での絵本・友達ランチでの非常アイテムyoutube・避けられない予定に関する良情報叩き込みモチベーション爆上げ作戦は、一度機嫌をわるくすると現場から帰る女優に最も好きなスイーツを取り寄せゴッドハンドマッサージ師を呼びいかにこの現場が女優大成功の道に近いかの良情報叩き込みモチベーション爆上げ作戦とおなじ。とくに病院や区役所など、できるかぎり機嫌を損ねたくないときの神経の張り詰め方は、ハリウッド常連スターのマネージャーレベルの張りと自負。

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泣き叫ぶであろう歯医者に行くためには、何週間も前から、歯医者にいかないと起こるデメリットや、歯医者で実際何をするか、歯医者を怖がる必要がないこと、歯医者に行くメリットを、できるだけわかりやすくリアルに伝え続ける。モチベーションをあげるため、歯医者はベビザラスに隣接した場所を選び、歯医者にいったあとベビザラスで遊べることを徹底的にイメージさせておく。歯医者につけば待合室で速攻絵本を読み、気を紛らわせ倒し、不安の介入を防ぎ倒す。

それでも先日、はじめての歯医者で泣きわめいていた。超イケメン歯科医の先生がうまくリードしてくれ無事一回は終わったが、肝心の治療はできず、慣れるためにこれから1ヶ月は毎週くることに。

1回目の歯医者を出た瞬間から、次週の歯医者への日々ははじまる。わたしは泣きはらした顔でベビザラスに向かう息子に速攻、今回のフィードバックをはじめる。歯医者さんの歯磨き粉が家にない味で息子が喜んでいたこと、先生がイケメンでウルトラマンに出てくる人みたいだったこと、歯医者さんの絵本のラインナップめずらしくてまた読みたいと言っていたことなど、「とにかくいまの歯医者たのしいことばっかりだったよね?」という事をかたっぱしから伝えまくり共感ポイントを探りまくり、泣いたことは笑って振り返り、良い記憶を植え付けまくる。

帰宅後一週間。家での歯磨きの際は毎回、「ちゃんと磨いてあのかっこいい先生にみてもらうんだもんね!」「うん!せんせいにみせる!きょうきれいにみがけてる?」という会話を続けた。

そして1週間後、2度目の歯医者。
出だし少しは泣いたが、初回よりは順調だった。この日も終了後速攻マネージャーとして第二回のフィードバック、次回へのモチベーションアップトークを繰り返す。彼も慣れたのか「つぎも歯、みがいてみてもらう!」と意気込む。当然ここからの一週間も、毎日の歯磨きでの声がけ、さらに3日前からの歯医者わくわくトークも欠かさなかった。

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そうして、先日、3度目の歯医者だった。
そこで、個人的にびっくりすることが起こる。

その日息子は泣いておらず、わたしはきょうは大丈夫かな?診察室に入ったら泣くのかな?と安心と不安が混じったまま自動ドアを開け受付をはじめた。その日は受付のお姉さんのとなりに、30歳くらいの歯科医の格好をした女性が作業していて、はじめて会うその人に軽く挨拶してわたしと息子は待合室で座った。

するとその、歯科医女性が大きめの声でわたしに、「きょうだいじょうぶですか?」と言った。

わたしは何のことかわからず「なにがですか?」と聞き返すと、その人は息子にも聞こえる大きな声でこういったのだ

「こないだすっごく泣いちゃってましたけど、きょう、大丈夫ですかね?」と。

おいおいおいおいおいおいおいおいまじかよと思った。
月9で低視聴率を記録した西内まりやの目の前で、本人に聞こえる声でマネージャーに向かって、「こないだの月9散々だったみたいですけど今回大丈夫ですかね?」って、聞くか?

ここに3つの違和感がある。
・本人のコンディションを、本人の目の前で本人以外に聞くこと
・過去の失敗をここで持ち出すメリットがまったくないこと
・泣くかどうかをここで聞く意味が、そもそもまったくないこと

大丈夫じゃないって言ったらどうなるの?大丈夫っていったらどうなるの?どちらも、なにも起こらない。ただ息子に「泣くかどうか大人たちが気にしてる」という情報を残す以外は。

そしてわたしは息子ではないので、きょう彼が泣くかどうかなんてわからないし、なんなら、本人だってわかっていない。泣くかどうか決めて自動ドアをくぐる幼児などいない。

彼女は、幼児に感情や耳や理解力があることを、わかっていないのかもしれない。こどもが泣くのは全部親の責任で親自身がこどもが泣かないよう徹底して努力してきたか、宣言させたいのかもしれない。そして暗に、前回みたいに泣かれたら困りますよと伝えたいのかもしれない。ちなみにこの人は担当医ではなく診察には関係ない。ひまつぶしの会話で地雷を踏まないでほしい。

という記憶をぜんぶ塗り替えるくらい、担当医のウルトライケメンマンはまじのまじでドタイプで、来週がすでにたのしみ最高。


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(ママ業百面相:マネージャー業
たのしさ☆☆☆
やりがい☆☆☆☆
達成感☆☆☆☆
自尊心☆☆☆☆☆
必要能力/コミュニケーション力・切り替え力)
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※これは30daysnoteチャレンジの第8話です。詳しくは1話をみて!

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