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わたしは宣伝謝罪をしない

cakesという媒体で3年半エッセイを連載してた。
毎週月曜の朝。公開されるとすぐにtwitterとfacebookなどで盛大に告知した。感想ツイートは速攻リツイートしまくった。何十件でも。同じ記事でも何度でも宣伝した。3年半。毎週毎週欠かさず絶対。

宣伝ばっかりでごめんなさい。告知ばっかりでごめんなさい。
感想リツイートしまくってごめんなさい。…そんなツイートをしている人をよく見かける。だけど私はそんなこと、ごめんなさいなんて、思ったことない。罪悪感を感じたことがない。かといってそんな「宣伝謝罪」をしがちな人にバーカバーカ宣伝して罪悪感感じるような仕事してんじゃねーよばーかカスカス愚かな雑魚ども乙なんて言わない。「宣伝謝罪」するのは自由。「宣伝謝罪」する自分が好きなのも自由。全部自由。私がとやかく言うことでは全くないから。だから今回はあくまで、私自身だけの話をするからね。

ところで私は新卒でリクルートに入り、営業になった。
ホットペッパーの習い事ページや美容院ページの担当だった。
飛び込み営業で「広告載せてください!」と言って契約を取って、その記事を書くというのが仕事だった。一年目、営業することは罪悪感でいっぱいだった。飛び込み営業で何度も顔を出すのも罪悪感。載せてくださいっていうのも罪悪感。新規顧客だけでなく既存顧客に対して広告のサイズアップしてくださいって営業するのも罪悪感。そんな私は、会社のフロアでお客さんと電話をするのが恥ずかしくて、いつもフロアの外にでて隠れるように電話をしていた。営業っていう罪悪感のある行為を聞かれるのが恥ずかしくて。

罪悪感がなくなるきっかけは突然だった。
熱血すぎる先輩(今は役者として活躍)がめちゃくちゃ熱血に「俺らはお客さんのためにやってんだよ、俺らと広告つくることで、お客さんにハッピーが起こるんだよ!」って、本気で言うのだ。実際この熱血な先輩は、飛び込み営業で灰皿を投げられても全くめげずに誰よりも営業しまくってた。成績のためだけとは思えなかった。そこには、完全に本気で相手のためになるんだという確固たる自信がみなぎってた。

私は素直なので、そんな先輩に心を打たれた。
そして、口癖を作った。

すべてのクライアント建物の入り口で
「私があなたを幸せにします」と呟いてから中に入るのだ。私の提案は必ず相手を幸せにする。心の底からそう思ったら、まったく営業に罪悪感がなくなった。その数ヶ月後にはじめて賞を取った。

この口癖の重要なところは、この口癖を現実にするために、努力せざるを得ないところ。心の底からこの口癖を腹落ちさせるためには、「幸せ」にする根拠を作る必要がある。当たり前なんだけど、ただ「幸せにします」って口先で言ってもなにも起こらず詐欺だから。

だから私はそのために、めちゃくちゃ相手のことを調べ尽くして、相手に聞いたこれからの目標や課題や個人的なしたいこととか家族のこととかまでも聞いて、相手の50年後まで考えて、それでたくさん手書きやデータを駆使して、本当に幸せにできる提案を考えに考えて提案しまくった。ときに感極まって泣きながら。

何の話かと言うと、告知に謝る必要あるかバカという話だった。

文章を書き始めて4年経つ。
私は私の書く作品が好きすぎる。好きすぎて自分の作品を何度も何度も読んでしまう。私は自分の作品の書き手であり読者で、
私(読者)の推しは、私(書き手)なのだ。純粋に好みすぎる。

愛するindigolaEndの新曲がめちゃくちゃいいからみんな聴いて!!!!聴くべき!聴かない理由ある??ないよね?聴いて!まじで!!!!
と同じく私は、愛するスイスイの新作めちゃくちゃいいからみんな読んで!読むべき!読まない理由ある??ないよね?読んで!まじで!!!!
って思ってる。だから罪悪感なんてまじでない。川谷絵音を推すことに罪悪感?あるわけがない。
私は4年間、

推せるものしか書いてない。

さすがにいまは、営業の時と違って「読んでくれたら確実に幸せにします」なんて文章は書いてなくて、読んでそれなりに不幸にさせることもあるかもしれないけど、ただただ好みなんです。

今年の初夏、突然わたしは、cakesでの連載を辞めた。
あのまま続けてたら、推せなくなると思った。私はエッセイではなくて、小説を書きたいと思ってしまっていた。それに気づいた直後に連載終了の相談をした。今まで小説を書いてみようとしたことはあったけど、自分で自分の書く小説を良いと思ったことは一度もなかった。だから一度でいいから、自分で、自分が推せる小説を、書いてから死にたいと思ったのだった。これはかなり切羽詰るほど本気で。

それで、それが初めて書けたので、思い切り宣伝したい。あなたがいま読んでいるこのnoteはすべて宣伝です。あなたがこれから、私が全力で推す小説を、読むきっかけとなる、宣伝です。おめでとう。これで読めるね。

浅生鴨さんが同人誌を作るとのことで、そこに小説を書きませんかと声をかけてもらって、叫ぶほど喜んでから書いたんだけど、これが誰に評価されるかどうか、誰にも引っかからずにスルーされるかは、関係なくて、少なくとも私の好みの小説はこれなんです!!!!ということにだけは自信がある小説だから今、満面の笑みでこのnoteを書いてる。

あ、大事なこというの忘れてた。推せる作品を書くために重要なことがある。すべての仕事に通じる一番大事なことだと私は思ってるんだけど、

「バッターボックスに立ったら、ぜんぶ120%で打て」ということ。これもリクルートの時、ある経営者の女性に突然、怒られるテンションで言われて脳の一番目立つところに残っている。今回の小説を120%で仕上げるために、編集はcakesで3年半ずっと編集をしてもらってた担当編集氏にお願いしました。

ちなみに今作、全部で三部作になる予定で、昨日ちょうど二つ目の初稿が完成したんだけど、それが好きすぎて一日中読んでしまってる。二つ目、本当に好き…!今回の同人誌で一作目を読んでくれたら、2つ目と3つ目も確実にいつか読んでね!ツイッターでお知らせするね!

これからも私は、私の推しでいたいし、
これからも私は、私を推したい。そんな関係性が成り立つ努力を惜しまないでいたい。このnoteもやっぱり最高に好きだから完成までに何度も読んでる最高好き一生読みたい。ただ、自分が一生書いてるとは思えない。

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(その小説が読めるのは以下)

浅生鴨さんが作る同人誌『異人と同人』

・11月24日 文学フリマ東京で買える
・文フリの場所は【ノ-48】@東京流通センター第1展示場
・通販はここから予約受付中(kindle未定)

(鴨さんに「同人誌だからあえて気軽な感じで」と言われたのにそれができなかったのは申し訳なくて、完全に私の熱血感が浮いてたら申し訳ないけどでも、でも、でも、読んで!!!!)

【そして。このような豪華すぎ著者の方々の中で、おかしなほど無名な私にバッターボックスを与えてくださった浅生鴨さんに一生感謝と敬礼します】

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