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アイヌと建築と工芸の世界

今回のおすすめの宿


アイヌと建築と工芸の世界

 これは気になって足を運んでみた展示会。随分と日が経ってしまったけれど、最近民族文化について触れる機会が多かったので書いてみたくなった。アイヌとは主に北海道地方の先住民族で、固有の精神文化を持っている。それは「自然界すべての物に魂が宿る」という考え方だ。アイヌでは神様をカムイと呼び、それは動物や植物、山、川もそれにあたる。アイヌの物語を調べてみたら熊とか狐がカムイとして登場していた。また面白いと感じたのは人間が作った生活用具も全てカムイに値するようだ。

展示のサブタイトルはチセ、マキリ、アットゥシ。
それぞれ家屋、小刀、樹皮衣という意味のようだ。
アイヌの自然と密接に結びついた生活様式や生活用具を主題にした展示を少しだけ紹介していく。

あまり来ることがなかった湯島エリアへ
小刀|木彫りの工芸美
神窓が設けられ、そこは覗いていけないルール。祭壇の逆側にトイレやゴミ捨て場があったり、細部の配置も大切にしているのが伝わる。


模様に目を奪われがちだが、樹皮衣を木の皮から編んでいく工程も印象的

 生活用品は現代では購入して暮らしを整えるものだ。しかしここではニュアンスが異なる。アイヌの人々は自然の力を借りて、生み出して、編み出して、刻み込んで。象徴としての模様は自然への畏怖すら感じさせる。

現代プロダクト|こんなアレンジもありました

 とはいえ民族文化ってちょっと怖い。ではもったいない。民族の本質的な部分は精神文化にあるのかもしれないけど、デザインが身近に残っているのも嬉しい。最近は映画化でも話題になった「ゴールデンカムイ」もアイヌを題材としていて作品を通して触れられる機会にも恵まれた。


アイヌ文化を楽しめる温泉旅館

界 ポロトは、北海道でも四季が鮮やかな白老町・ポロト湖畔に建ち、全室から湖を望める温泉旅館です。アイヌ民族の自然観に触れる体験やアイヌ文化から着想を得たアートワークや文様のデザインを施した客室でゆっくりとお寛ぎいただけます。


ポロト湖の懐にひたる絶景温泉。湖に浮かぶかのような一体感


北海道ならではの毛蟹や帆立貝を、ブイヤベース仕立ての鍋で贅沢


地域らしさあふれる界の「ご当地部屋」。アイヌ文様をイメージしたデザインやアートが飾られ、全室からポロト湖の眺めを堪能

余談ですが、、
 最近読んだ本の中でキリスト教は明確に「神、人、自然」を分けるそうです。だから物語に登場する動物が人に変身する場合、魔法をかけるなどの理由づけが必須らしいです。
一方でアイルランドのケルト民族は、神様は自然の中に内包されていると考えるそうです。「神、人、自然」を分けない。だから物語ではなんの前触れもなく、人が動物に変身しちゃうってことがある。
 そこでアイヌの民族について気になり始め、この展示会を振り返るきっかけになりました。アイヌの民話においても、魔法等の力の介在なしに、動物は自然に変身しそうですよね。またちゃんと調べてみたい。

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