#9 「きこえたものを、こころにえがく」
こんばんは。2gouです。
久しぶりの投稿です。
2020年に入ってからも、楽譜や音源のリリース、ライブへのお誘いなど、緩やかでも、絶えず皆さんへ何かしらのお知らせができること、嬉しく、そして有難く思っています。
春を待つあいだ、このブログでも、それらのお知らせについて、メンバー自身の言葉で綴っていけたらと思っています。
どうぞ、よろしく。
今回は、僕たちsuisaiの公式LINEアカウント
に寄せられた、
suisaiの楽曲の中で『この曲はこの絵の印象に近い』というものはありますか?
という質問について、綴っていきたいと思います。
とはいえこの質問、なかなか難しいもので、お答えするのに時間がかかってしまいました。(質問者の方、ゆるしてね…!)
楽曲と絵画の関係、イメージの親和性についてですが、グループ内で「●●という画家の『〇〇』という作品のイメージで歌ってみよう」と共有するようなアプローチは、現時点では行ってはいません。
しかし、もしかしたら、メンバー各個人の中で、特定の絵画の情景を思い浮かべながら作編曲を行なった、或いは歌っている、ということはあるかもしれません。
グループの単位で行なっているものをお話しすると、
音源やライブ情報などのリリースの際、そのイメージに合った水彩画をメンバー全員で選び、リリース画像にする、という取組みを行なっています。
例えば、
先日、演奏用の楽譜と新たな音源をリリースした「大橋トリオ/Colors」の画像も、
メンバー内で意見を出し合い選定しました。
旧音源の画像はこちら。
新音源の画像は、同じ水彩画を別の角度から写したものです。
もうひとつ。
YouTube channelにアップロードしている
「Spitz/みなと」
の画像です。
この水彩画、異なる色あいの青が混じり合う様子や、滲みと直線の対比などから、
海と陸のコントラストのイメージを呼び起すものになっているように見えます。
もう一枚、ご覧ください。
実はこの画像も、同じ「みなと」の画像候補として、最後までどちらにしようか、意見が分かれました。
1枚目の画像とは少し違った印象で、
ここでは寧ろ余白が「海」
青、黄、緑の滲んだ色が置かれている様子がさながら「陸(島々)」を思い起こさせる、
そんな見方もできますね。
また、「みなと」を聴いてくださった方からの印象として、以下のような言葉をいただいたことがあります。(一部引用、表記一部訂正)
スピッツの原曲は小田原・静岡とかのカラっとした海の歌じゃん。でもsuisaiのみなとは明るすぎず、でも冬の荒れた日本海でもない、どこか曖昧な海。
僕たち自身も少し虚を突かれるような、鋭いご指摘であるとともに、
僕はこの言葉の中の「曖昧な海」というフレーズが、とても印象的で、なんだか面映ゆいような感じで、嬉しかった。
僕は内陸の方で育って、今も海から比較的遠い場所で暮らしています。
僕にとっての海は、車を2〜3時間走らせて、幾つかの高い山を越えて辿り着く海です。
上の言葉の通り、憧れや思い出の中の海を、多分に含んだ「曖昧な」ものなのかもしれない。
海の側で暮らし、育ってきたひとにとって、このうたはどう映るのか。
「こんなものは港の風景ではない」
と感じる、そんな反応にも、(きっと素直に落ち込みながらも)
「ああ、そうか」と、反面無性に嬉しくなることもあるのかも知れないな、と感じます。
ライブの画像では、
3/1に出演予定の「ヒカリノテラス」の告知画像です。
ライブの告知画像についても、いくつかの候補を出し、そこから、メンバーそれぞれがライブに対して抱くイメージをもとに「この画像がいい」というものを決めています。
「ヒカリノテラス」というタイトルや、
「月/木漏れ日/光/テラス/照らす/昼/太陽/早春…」などのキーワードからの連想で、
昼とも夜ともつかない青、
左上部分、特定のかたちを備えていない、溢れるような光の様子、
そんな見方のできるようなこの画像が選ばれました。
このように、毎回3つほど画像の候補を挙げて、そこから選んでいくのですが、
全員一致である候補に意見が集まるときもあれば、意見がはっきりと分かれることもあったり、
はたまた挙げた候補以外から、「こんなのはどうかな?」と、新しい候補の画像が挙がることもあったり。
どんな展開になっても、僕自身その過程を楽しみながら、この画像選びを通して、皆で楽曲やその披露の場へのイメージを緩やかに育て合っています。
水彩画のことについては、他にも話したいことがあるので、また別の機会に記事にしていければと思います。
これまでの画像の一部を見たい方は、こちらもぜひどうぞ。
ページ内の画像をクリックすると、音が流れたり、流れなかったりします。
頂いた質問に対して、しっかりとお答えできているかどうか、どきどきします…。
ただ、今回頂いたこの質問にどうお答えしようかを考える中で、
僕たちだけでは見落としがちな大切なことを、改めて思い返す機会をもらった、と感じています。
「みえないものを、えがくように、うたう」
というテーマを追い掛けて、これまで活動を続けてきました。
その中で、僕たちが願っているのは、
「歌う僕たちが描くものと、聴くひとのこころが描くものを、うたを仲立ちにして、手渡し合う瞬間」
です。
演奏を聴いた皆さんそれぞれの記憶の中に、一枚の絵画が浮かぶことがある。
それが僕たちのうたに、またあたらしい色を描き加えることが、ある。
suisaiの歌う場は、そんな静かな、
言葉をもたないこころの通い合いが行われる場でありたい。
聴いてくださる方ひとりひとりが、そっとこころの窓を開いて、風の通い路をつくる、
つくろうと思える、そんな時間/空間をあらわしたい。
だとしても。
僕たちが皆さんに届けるのは、
例え何も描かれていない真っ白なキャンバスだったとしても、
それは空虚なものであってはならない。
「聴くひとのこころを信じる」ことは、
「僕たち自身の感受性を放棄すること」
と、同じではない。
歌うなら。
溢れてなお流れやまぬ、涙でこころを充たして。
これからも、僕たちが生み出すものすべてが、伸びやかで、みずみずしいこころから発するものであるように。
これは、僕たちの約束ですね。
聴いてくださる皆さんとの、約束です。
だからもしよければ、
これからもいろいろなこと、楽しみに待っていてください。
どうぞ、よろしく。
今回頂いたような
・質問
だけでなく、
・活動への要望、ご意見
・suisaiの楽曲の演奏音源、映像
・ライブや制作物への感想
・「お菓子が上手に焼けたよ」みたいな、些細なこと
なども、
公式LINE
で、皆様の声を待っています。
それでは。
また、ここで。
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