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エンジンをかけて

ハンネしか知らない人と待ち合わせ ドレスコードは全身真っ黒

簡単な自己紹介もそこそこにあさんの車の助手席に乗る

往来の誰もが虚構をまとってる 永遠にさようなら新宿よ

静寂が支配している車中でカーナビだけがずっと饒舌

目的地は富士山の方 持ち物は貴重品と麻のロープ

東京は何もかもがきらめいてて憧れなければよかったのにな

少しだけETCが喋ったあとついに黙ってしまうカーナビ

終焉への片道切符握りしめ中央道をかっ飛ばしてく

生きてれば当然お腹は空くもんで談合坂でかけそば食べる

窓の外の暗さがやけに心地いい 都会より魅力的な町だ

子供の頃自分の最後の晩餐がかけそばだとは思ってなかった

河口湖インターチェンジを降りた時車内の温度が少し上がった

街灯と月の光に照らされて肺の奥まで空気を入れる

もう少しあとは自力でどうにかせえと急に突き放してくるカーナビ

人気のない道に車を乗り捨てて本物の闇に足踏み入れた

奥深く分けいってもバリ3で迷信は所詮迷信と知る

後ろはもう振り返らない もう二度と戻れないし戻らないし

今体重何キロだっけ 信頼の置けそうな枝にロープかけよう

久しぶりに木登りしてる あのころと違うのは首に縄かけてること

さらば世界 さらばクソッタレ人生 次はもうちょい器用に生きたい


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