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短歌

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2024年5月の記事一覧

うたの日に出した短歌65

うたの日に出した短歌65

4/30 題「金」
夕陽を受け黄金に光るレモネード 甘酸っぱくてちょっぴり苦い

5/1 題「雨」
ビニ傘がぱちぱち弾く雨粒のひとつひとつが苦しみの種

5/2 題「コロッケ」
里帰り 揚げ物なんて久々、とコロッケ揚げる母の背中

5/3 題「凸凹/凹凸」
いつの間に心はこんなに凸凹でプチプチシートで包んで運ぶ

5/4 題「有」
せっかくの有給なのでできるだけ省エネモードで過ごす日中

うたの日に出した短歌64

うたの日に出した短歌64

4/25 題「エプロン」
エプロンで防げたはずのミートソース 点々と描く北斗七星

4/26 題「メタ」
遠くの空に黒い線を見つけてXとYだけになってく

4/27 題「マンモス」
先祖たちが勝って私はここにいる 上野でマンモス見ながら思う

4/28 題「禅」
禅寺のように静かなこの部署で肩を叩かれないよう生きる

4/29 題「芽」
今春も芽吹かなかった花たちへそぼ降る雨の露のきらめき

うたの日に出した短歌63

うたの日に出した短歌63

4/20 題「聡」
女の子はちょっと馬鹿なくらいがいい 聡いあの子は遠くを見つめる

4/21 題「沈」
物憂げな気持ちを誘う沈丁花 赤い蕾を口に放る

4/22 題「たらこ」
幾万の命になるはずだったものをパスタに絡めて巻き取っていく

4/23 題「茹」
鍋の中茹だった卵 あなたの分だけを先に静かに掬う

4/24 題「板」
ちゃんとした表札が出来るまでの繋ぎだったはずのかまぼこの板

うたの日に出した短歌62

うたの日に出した短歌62

4/15 題「黄」
zoom会議 怖い課長の背後からカワイイネと鳴く背黄青鸚哥

4/16 題「泣」
泣いたって何も好転しないけどただ泣きたくて泣く夜はある

4/17 題「食」
部屋でひとり 両の手のひらで食パンを薄っぺたく潰して食べる

4/18 題「啼/鳴」
何処からか鶯の啼き声がして桜の蕾が膨らんでゆく

4/19 題「定」
教室の隅 渡辺が金属の定規で奏でる大地讃頌

うたの日に出した短歌61

うたの日に出した短歌61

4/10 題「自由詠」
オレンジは朝焼けの色 静けさと冷たさを肺いっぱい吸い込む

4/11 題「パン」
子供には子供の辛さがあることも忘れピーターパンを羨む

4/12 題「ペン」
ボールペンを万年筆に持ち替えて一足飛びに登る階段

4/13 題「しか」
両親に愛されていた経験が今の私の足枷となる

4/14 題「チューリップ」
チューリップを赤白黄色に並べるため赤白黄色に球根を分ける

うたの日に出した短歌60

うたの日に出した短歌60

4/5 題「後」
夜明け前に起きて夜明け後起きてくる子供のための卵焼きを焼く

4/6 題「無」
大事なもの無くしてぽっかり空いた穴をぽっかり空いたままにしておく

4/7 題「菜」
鍋の中で茹だる菜の花 苦味さえ旨味と感じる年齢になり

4/8 題「夜」
だんだんと現実に引き戻される2番スクリーンのように夜明け

4/9 題「切」
あさつきか万能ねぎかわけぎかのどれかを小口に切って乗せる

うたの日に出した短歌59

うたの日に出した短歌59

3/31 題「うたの日10周年」
これまでもこれからも続く日常に三十一文字の彩り添える

4/1 題「日」
日曜の午前中を生贄にアンテナ立てる土曜の深夜

4/2 題「続」
どこまでも続く青空 爽やかで清々しくて息苦しい

4/3 題「桜」
北風に散れ散れ桜 お前らも撮られ飽きている頃だろう

4/4 題「四」
4月1日は嘘ついてもいい日 つかなくたってもちろんいい日