電子辞書がひっくり返っていた

部屋の中で電子辞書がひっくり返っていた。

なんだか、良くない気持ちがしたので、元に戻した。自分をそんな気持ちにさせるなんて、君だけだよ……と、(軽率に)思った。

と、いうわけで「なぜ、電子辞書がひっ繰り返っていると、気持ちが悪い感じがするのか」について、よくよく考えてみた。

思うに(これを一回使ってみたかった)、①電子辞書の中には文字がたくさん詰まっているので、それが漏れ出すような気がするから。②裏返った電子辞書は、単三電池を入れる場所がはっきり見えてしまうので、中の電池から変な液体が漏れ出すような気がするから。

いずれも、何かさかさまになることで、漏れ出すような感覚になっているのが、気持ち悪さの原因である。

実際は、ひっくり返ったところで文字は漏れ出てこないし、電池から変な液体が出ていたら、表になっていても裏になっていても大変なことだ。(そして、電子辞書が裏返っているということが原因で、電池から変な液体が漏れることもなかろう)

しかし、何となくそういう感覚になって、気持ち悪くなってしまうのだから、電子辞書はこれからも裏返さない方が良いだろう。

と、ここまではいい。シンプルな解決案。誰にも迷惑のかからない改善案。完璧である。

問題は(問題にしたいのは)、「なぜ電子辞書。君だけが気になる……」ということである。「それは恋です」と、どうとでもなる結論で片づけてもいいのだが、ここ最近、暇なのでもう少し考えてみる。

スマホの場合であれば、まあ、どちらを向いていても気にはならない。カメラと目が合うと気まずい心持ちにはなるが。

リモコンの場合であれば、気持ち悪いというより、なんで? という疑問が勝ってしまう。その後、リモコンのボタン部分にかかる、奴自身の重さを想像して、ねぎらってあげたくなるかもしれない。

やはり、電子辞書だけが、どうにも気になる。気色が悪い。

(……と言ったところで、段々書いていて、飽きてきたので、仮説を一つ立てて終わりにさせていただく)

よ、おもえらく、電子辞書にはカバーというか、ケースというか、入れ物がついている。もうそれとセットで買ってしまったからね。そのことが、電子辞書を儚げな印象にさせ、思わず守ってあげたくなっちゃうという心境にさせているのではないだろうか?

考えれば、在りし日のDSもケース付きで買ってもらったが、DSがひっくり返っているところを想像すると、これまた、元に戻したくなる不快感だ。DSは電池で動いている感がないので、電子辞書より不快感は幾分マシであるが、やっぱり何だかぞわぞわもぞもぞする心地。

そうか、わかった。そういうことだな。真実はいつもひとーつ! ということで、今日はもうよす。