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専門学校か大学で迷っているあなたへ(後編)

前回の続きです。

私は漫画家のアシスタントをしていたのですが、先にも書いた5日泊まり込みで毎日19時間絵を描き続け、最終日は29時間描き続けて2日の休みをほぼ寝て過ごすというサイクルに限界を感じて辞めてしまいます。

そして反動として絵を描くのが嫌い(辛い?)になってしまいました笑

この時点で完全に予定していた人生が大きく崩れてしまい、数百万かけて卒業した専門学校は本当の意味で無意味に。
お母さんごめんなさい笑

小学生から高校卒業まで長い期間待ち続けた強い思いだったにも関わらず、実際に仕事として絵を描くギャップは想像より大きく木っ端微塵に打ち砕かれました。

その後はアルバイトや派遣、個人事業主として絵とは全く無関係の仕事をしていたのですが、25歳になり将来を考える歳に。

少し大人になった私がその時考えたのは「このままで将来大丈夫なのか」でした。

不安を募らせた私はだんだん会社員として安定した会社に勤めたいと考えるようになります。

元々絵が好きだった私はPhotoshopが使えた事もあり、独学でHTMLとCSSを学びWebデザイナーになる事を決意。

友達のホームページを無料で作成しながらポートフォリオを作成し就職活動を行いました。

ですが学歴も実績もない私はもちろん書類選考でほぼほぼ落とされ最終的に採用して貰えたのは「安定した会社」とはかけ離れたたった従業員3人の会社でのアルバイトでした。

ちなみに1年後には事業が傾き給与未払いが発生し転職を余儀なくされ、さらに「安定した会社」への思いが強くなったのは言うまでもありません。

ただ良かったのはとても小さい企業だったため、プライベートはありませんでしたが様々な仕事を任され短期間でスキルが上がりポートフォリオも充実しました。

今冷静に考えても26であのスキルとポートフォリオがあれば十分即戦力として働ける人材だったと思います。

ですが相変わらず世の中は甘くありません。手当たり次第採用の応募をしますが書類参考に通りませんでした。

今考えると当然ですが、ある程度の規模の会社で書類を最初に見るのは応募をかけている管理者や共に働く技術者ではないんですよね。

全く畑違いの人事部の方が見る事が殆どでしょう。

実際に確かめる事はできないですが、同じポートフォリオだったとしても私が有名大学の卒業者であり大手企業のWebデザイナーとして勤務していたら書類選考を通過した可能性は高かったのではないかなと想像します。

ただ単なる被害妄想の可能性もありますが、事実そうだったとしても私が過去に自ら選択し、歩んできた履歴を評価されているので仕方ないです。

ちなみにすぐに次の就職先は決まり90人程度の会社で働く事になりました。

その頃には私の中で求めていた「安定した会社」の定義ができていました。

絵で食べていくという夢を失った私は「従業員数が多く時価総額が多い会社で働く」という新たな人生の目標をかかげるようになりました。

完全にコンプレックスw

そして以下のような転職を重ねてキャリアアップをしました。

従業員数3人 → 従業員数90人 → 従業員数160人 → 派遣社員 → 従業員数3500人(上場企業) → 従業員数7万人(上場企業)

概ね当時の掲げた目標は達成できた事になりますが、大学を出ていれば新卒で今の会社に入社している可能性もあったわけで「安定した企業」という目標のために人生をえらく長い期間費やしてしまったなと思うわけです笑

ちなみに学歴をあまり気にしなくなったのは派遣社員以降からですかね。年齢も30代前になりポテンシャルではなく即戦力として実力を重視して見られるようになったのもあると思います。

では今はもう大学を選択しなかった事に対する後悔はなくなったのかというとそんな事はありません。

例えば産業大学ではUXについて学ぶことのできる「人間中心デザイン」というカリキュラムがあるのですが、その受講資格は日本の大学を卒業している必要があります。

この歳になってなお勉強する際の足枷になる事もあるのです。

また海外の大手企業に就職する事も考えた事がありますがそこでも学歴による挫折は味わっています。

例えばGoogleではデザイナーの採用応募条件に心理学や認知科学、ヒューマンファクターなどの学師号〜博士号が含まれている事が殆どです。

今働いている企業よりも規模を大きくする事でキャリアアップをはかって来た私としては学歴による大きな壁に再度ぶち当たった事になります笑

またそういった採用条件のある企業への転職を考えなかったとしても私は業務でUIデザインに関わっています。

この事はまた別のnoteで書きますがUIデザインは心理学や認知科学といった学問と密接に関わっている為、私は今独学で心理学、認知科学、行動経済学などの書籍を読みあさっています。

あれほど嫌で避けて来た勉強が最終的には必要になり今日々勉強しているわけですね。

そして学問はやはり学業としてしっかりと学んだ方が良いのではないかと36歳になった今、大学に入ろうかなと真剣に悩んでいます。

専門学校を選択した事に対する私の経験と考えはこんな感じです。

人の考えは長い月日の中で変わるので夢はいつ変わるかわかりません。そして専門学校は経歴にプラスにならないですが大学は潰しが効きます。

また勉強したい、転職したいと思った時の応募条件に引っかかり自身の行動の選択肢を狭める事があります。

専門学校を選択する場合は「楽したいとか同じ目標の友達が欲しい」といった安易な考えで決断しないことを1人の大人としてお勧めします。

もちろん考えた末の結果で専門学校に行くことを悪い事だとは思いませんよ。

現に私はこうして生きていますし人生なんとかなるもんです笑

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