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認識のこと

最近いろいろと認識を改めることがある。

まず大きいのはサッカーだろう。あんなものを認める日が来るとは思わなかった。これは衝撃的だ。魚が陸へ上がった。

もう一つ、ちょっとだけ認識が改まるかもしれないものがある。高校野球だ。

野球は大好きだが高校野球だけは存在することを認めていない。理由は誰だってわかると思う。

少し話はずれるが散歩するときにだいたいどの辺まで行こう、というのをあらかじめ決めてから家を出るようにしている。目的を決めないとやめ時がわからないからだ。先日は少し遠くの学校まで行くことにした。往復で15000歩くらい歩くことになる。しかもこの辺りの地域は山だらけで、だいたいでかい建物は山の上に作るという馬謖が泣いて喜ぶような思想があり、病院でも学校でもなんでも山の上に作る。山の上なので勾配も激しく、散歩といえども結構な運動になるのだ。そういうわけで学校を目指した。

目的地の学校へたどり着き学校の周りを一周するようなルートで復路へはいる。同じ道は歩かないのが散歩に飽きないコツだと思う。

学校の周りを歩いているとグラウンドの横を通る。外周をランニングする何か部のスポーツ人間がうろちょろしていた。歩くのに邪魔なんだが向こうも走るのに邪魔と思っていることと思うのでおあいこだ。むしろ一般の人も通る道だぞ。自分たちだけのものと思うな、スポーツ人間が。サッカー部だろ、あれ。威勢のいいノックの掛け声が聞こえてくる。今はどうか知らないが昔は県内最強の軟式野球部がいたので軟式だろうと思ってノックを見ながら歩くつもりでスピードを落とした。驚いた。軟式野球部だと思ったら女子野球部だし、硬球を使っていた。ショートの人がゴロをトンネルして後ろへ飛んでいったボールを拾いに走っていった。15年くらい前に女子サッカー部ができたので女子野球もいずれはできるかもしれないと思っていたけど本当にできるとは思わなかった。この学校には野球部が二つ存在していて、県内最強だけど軟式野球は野球ではないという一部からの意見によりソフトボール部、テニス部、陸上部と一緒にグラウンドをつかわされている軟式野球部と、地区大会で勝てたことはないけど小学生くらいが相手だったら勝てる可能性はゼロじゃないし、部員は100を軽く超え専用のグラウンドと移動のバスまで揃えている硬式野球部という、対極のチームがあったのでさらに女子野球部ができたというのは驚きだった。

女子アスリートの髪の長さ問題ってあると思うけどみんな自由な長さで後ろで結んでいてあ、なんかいいなあと思ってみていたら奥でキャッチボールしている人たちはベリーショートにしていてこの学校らしいことしてんなあと思った。高校野球児が坊主にするようになかにはスポーツに打ち込むあまり自分も坊主にするぞ!と意気込んで取り組む人もいる。そういう文化がまだ残ってるんだねぇ、とがっかりしたような安心したような気持ちになった。軟式野球部もグラウンドの真ん中の方でキャッチボールをしている。その向こうで女子テニス部がボレーの練習をしている。さらに進めばあの巨大な野球グラウンドだ。いつもみたいにやかましく音楽かけながら何十人もでウダウダやってるんだろうと思って見てみた。

奴らは数がすっかり減っていた。元気もない。練習しているというのに誰も声を出さない。グラウンドが広くて自分だちだけで占有できるのに道具もほとんど出さずにすみっこで立ったり座ったりしている。昔あった偉そうな態度はどこにも見えない。部員たちも今年から始めたのかな?みたいな体の小さいやつらしかグラウンドに出ていない。主力は別の場所で練習するのかもしれないが、あまりにも女子野球部と比べて勢いがない。情けなさにちょっと応援してやりたくなった。この僕が。これまたびっくりした。学校の中でのヒエラルキーが変わってしまったのだろうか。昔は野球で勝てないものだから「チームとしての絆を深めるため」になんかのダンスの大会に出場して優勝した。もちろん生徒にはバカにされていた。弱小すぎて大きな顔できる存在じゃないとわかったんだろうか。

もしそうなら認識改めてあげないこともない。そう思わされた。

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