伝統文化を支えるビジネス

1.(有)ひわだや(山口県山口市)

2020/03/17(火)には、天保年間から続く伝統工法「檜皮葺(ひわだぶき)」による屋根工事業を営む(有)ひわだやを紹介しました。

檜皮葺など伝統工法による屋根工事を手掛ける会社は中国地方に3社しかなく、山口県内は同社だけ。これまで山口市内の瑠璃光寺五重塔(国宝)や龍福寺本堂(重要文化財)などの工事を担当してきました。しかしこのような工法による工事そのものが減少しているうえ、工事がない時期もあり、繁閑の差が大きいのが経営上の課題となっています。このため同社では檜皮葺をパネル化し、室内装飾品として欧米への販売に取り組んでいるそうです。

2.伝統文化を支えるビジネス

このような、歴史的な建築物の維持・保存のために伝統的な技術や技能を承継し、ニーズに的確に対応している企業としては、寺社建築で1400年以上の歴史を持つ(株)金剛組が有名ですが、同種のビジネスで活躍する企業は必ずしも「長寿企業」だけではありません

伝統文化を支えるビジネスを提供する企業としては、弘前城天守閣の石垣修理のため、天守閣をそのまま仮設土台に移動させる曳家工事を行った(株)我妻組(2017/11/22)、もともと住宅建築から神社仏閣の建築に参入した(株)亀井組(2018/03/27)、設計を工夫してコストを抑えて建てられる寺社建築を開発した(株)カナメ(2016/05/20)などを紹介しています。

檀家の減少や後継者難から、神社仏閣の維持・補修自体が困難になるなか、こうした伝統的建造物の建築や補修に関わるビジネスもまた右下がりのように見えますが、ニーズが合えば競争相手の少ない市場であると考えることもできるかもしれません。今後の動向に注目していきたいと思います。

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3.今週の【すごい会社】

この会社を含め、今週は以下の【すごい会社】をご紹介しました。

★No.1981☆(株)トミヤコーヒー(静岡県沼津市)。顧客の味の要望やイメージにあわせて4~5種類を配合。県内のホテル、ゴルフ場など約50社がそれぞれのコーヒーを、お土産品やノベルティーとして取り扱う。⇒詳細はこちら
★No.1982☆(有)ひわだや(山口県山口市)。 檜皮葺をパネル化し室内装飾品として欧米への販売に取り組む。本業は寺社の屋根の葺替だが、件数が減少傾向の上、波が大きいため、本業に次ぐ柱として育成する。⇒詳細はこちら
★No.1983☆(株)秋田屋本店(岐阜県岐阜市)。ハチミツ製品の開発や養蜂器具の製造・販売を手掛ける創業130年余の老舗商社。国内で養蜂器具を作れる人材が減っており、海外調達に力を入れる。⇒詳細はこちら
★No.1984☆ダイワ通信(株)(石川県金沢市)。発熱やマスク不着用の社員の出勤を防ぐ認証システム。AIがマスクの有無を判別、測温センサーによって体温を瞬時に測定。条件を満たさない場合入口を解錠しない。⇒詳細はこちら
★No.1985☆ヒロセ電機(株)(東京都品川区)。米コネクター大手とパートナー契約を結んだ。すでに独コネクター大手と共同で産業機器向け次世代コネクターの開発販売を進めており、国際標準規格の確立を目指す。⇒詳細はこちら


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