23歳が倒産寸前の会社を立て直した話 第4話 #もう一つの真実
変動費と固定費で算出できる「損益分岐点売上高」から、父の事業が自転車操業であるという衝撃の事実が発覚しました。さらに経営立て直しのため実家の生活費にもメスを入れることにした私はとんでもない真実を知らされるのでした。
事業の成長には「金」が必要不可欠です。しかし、事業が自転車操業となっていると事業を発展させるための資金に回す金がありませんので、いつまでたっても同じところで足踏みを強いられることになります。
父の事業が自転車操業となっている事実が発覚した以上、まずは経費を削減しこの泥沼から一刻も早くから抜け出さなくてはなりません。
そこで私は固定費の中でも最もウエイトの重い「人件費」の削減に取り掛かることにしました。
思わぬ反発
人件費といっても父が一人でやっている事業ですから、父一人の人件費、すなわち実家の生活費を見直すこととほぼ同義です。
まず、食費や日用品など生活必需品にかかる費用を母の協力のもと書き出しそこから削減できる方法を模索しました。
そして、その他雑費を大まかに書き出し削減できる部分を探していると、なんと、使途不明な10万円の存在が明らかになりました。家族とはいえどお金のトラブルは大事になるリスクがあります。言葉を選び慎重に10万円の行方を母に尋ねました。
すると、母は今までの協力的な態度が一変。「なぜこんなに生活を切りつめなければならないのか」と反発してきたのです。
知られざる過去
前の記事でも書きましたが、私の実家は私が小さなころから父が事業をしていて自営業の家庭で育ちました。決して裕福な家庭ではありませんでしたが友人との間に劣等感を感じたような経験もありません。
おそらくは母は私たち子供が他人と差を感じるようなことがないよう、人並みの生活を送れるよう、細心の注意を払ってくれていたのだと思います。それには私も心から感謝をしています。
今回も生活が苦しいことを私に悟られぬよう、あえて反発したのだと思います。しかし、すべてを共有し改善していかなければ自転車操業の泥沼から抜け出すことはできません。
なるべく母の神経を逆なでしないよう時間をかけて真実を暴いていきました。すると私も知らない過去が明らかになりました。
それは、父は、私が中学生のころ事業の経営が立ち行かなくなり、破産をしていたということでした。
「国」への借金
思いもよらぬ真実に私は言葉を失いましたが母はすべてを打ち明けてくれました。
破産をすると借金の返済義務などは免除されます。しかしその間の税金や健康保険料は免除にはなりません。父には破産の際に滞納した税金や健康保険料が存在したのです。
これは、すなわち「国」や「自治体」に対する借金がある状態です。これらはれっきとした借金ですから当然利息(延滞税)が発生します。
それにより父の借金はおよそ500万円に膨らんでしまっていました。それを毎月合計約10万円返済していましたが、返済額の多くは利息分となりいつまでたっても減らずにいたのです。
衝撃の「もう一つの真実」によって事業の経営立て直しは想像以上に余裕のない闘いだったのですだったのです。
続く
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