SaaSの公式LTVとCACをパートナーセールスで検証してみた
この記事はSaaS企業でパートナーセールス事業を立ち上げようとした時に、おそらく最初にぶつかる壁の一つ、「直販との比較」を自分なりに検証してみた思考メモです。もしこの記事をご覧になったパートナーセールスに携わる方がいらっしゃたら、意見交換できたら嬉しいです。
改めて、EventHubでパートナー事業の担当をしている杉山です。
これはEventHub Advent Calendar 2022 の10日目の記事です🎉
昨日はTaichi Nakaoさんの「Facebookリード獲得広告をはじめよう ウェビナー集客のCPAが7分の1になった話」でした。
パートナーセールスって実際のところ効率いいの?
おそらくパートナー事業に携わっている方は、どこかで必ずこの質問を社内や社外でされたことがあるのではないでしょうか?
「パートナーさんの開拓や関係作りから始まるからなかなかすぐには立ち上がらないよ?!」
「会社の協力や理解がないと進まないよ?!」
「でも、パートナーさんが売れるようになったら一気にスケールするよ!」
色々な感想やご意見をいただきます。
では、実際に会社・経営陣に事業としてパートナーセールスへの投資を上申する時に、どこまでパートナーセールスの計画を語れるだろうか・・。
いい機会だったので、改めて考えてみました。
参考にさせていただいたのはこちらの記事です。
SaaSといえばユニットエコノミクスです。
LTV(Life Time Value)=顧客生涯価値
CAC(Customer Acquisition Cost)は顧客獲得単価
SaaS事業では一般的に下記の指標で事業が健全水準と言われます
仮の数字を入れてシミュレーションしてみる
例えば、下記のケースの場合には、
ARPA:100千円
チャーンレート:5%
次にCACについて見ていきます。
CACとは、新規の顧客を獲得するためにかかったコストを指します。
CACには、マーケティングにかけた費用のほか、営業担当者の給与など、顧客獲得にかかったすべての費用を計上します。(ここの考え方がパートナーセールスを考える上で後から重要になってきます。)
CACを求める計算式は、次のとおりです。
例えば、下記のケースの場合には、
顧客獲得にかかった広告宣伝費や営業コストのトータル:5,000千円
獲得できた顧客数:10社
ここまで出したら、次は先ほどの事業の健全水準を見てみましょう。
「LTV / CAC > 3x」
2,000千円 ÷ 500千円 = 4 ( > 3x)
「CAC Payback Period(顧客獲得コストの回収期間)は12ヶ月以内」
CAC回収期間(カ月)= CAC ÷ ARPA
500千円 ÷ 100千円 = 5(カ月)
実際にはこんな綺麗にはいかないでしょうが、とても健全な水準と言えそうですね。
さて、ではここからが本題です。
パートナーセールスに置き換えてシミュレーションしてみる
まず、パートナーセールスで欠かせないアライアンス条件を整理します。
アライアンス条件は一般的に、
紹介取次に対するキックバック
販売代理に対する卸価格提供
この二つが存在しているかと思います。今回は「販売代理に対する卸価格提供。卸価格=30%割引」でシミュレーションしてみます。
また、今回シミュレーションするにあたりパートナー経由の顧客でもARPA、チャーンレートは直販と同水準という前提にしています。
まずはLTVを計算してみます。
ARPA:100千円
卸割引率:30%
チャーンレート(解約率):5%
続いてCACのシミュレーションですが、ここでは先ほどの直販の水準をパートナーセールスで維持するためには、CACがいくらになるかを計算してみます。
「LTV / CAC > 3x」
2,000千円 ÷ 500千円 = 4 ( > 3x)
でしたので、
ここまで計算すると、最後にパートナーセールスで投資できるコスト(X千円)が出せそうですね。
CAC
・ 顧客獲得にかかった広告宣伝費や営業コストのトータル:X千円
・ 獲得できた顧客数:5社
であった場合は、
直販とパートナーで比較してみる
LTV
CAC
顧客獲得にかかった広告宣伝費や営業コストのトータル
このように直販の状況から逆算して、パートナーセールスの投資コストの目安を算出することが出来ました。
ただ、あくまで目安のため、考慮しなければいけない点は残っています。
ARPA、チャーンレートは直販と同水準という前提になっている
パートナー企業のオンボーディング期間や工数を考慮していない
広告宣伝費はパートナー側にも按分するのか
紹介取次と販売代理で工数もインセンティブも変わってくる
紹介取次の場合は、CPAで比較した方が適正?
パートナーセールスを伸ばしていくポイント
営業コストの最小化
獲得顧客数の最大化
今回は簡単なシミュレーションしか出来ていませんが、パートナーセールスでも、CACに注目してコストの最小化と受注の最大化が基本の指針となります。
その中でも、パートナーセールスに期待できる点は、自社の営業コストを抑えながら、パートナー企業の力をお借りして獲得顧客数を最大化することが出来る(レバレッジが掛けられる)点だと思います。
そうした指標についてもまた別の機会に検証してみようと思います。
最後に
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
EventHubに2021年7月に入社して、パートナー事業を担当していますが、とてもエキサイティングな毎日を過ごしています。
よろしければこちらの記事もご覧いただけたら嬉しいです。
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次の11日目の記事はOkamonさんですーお楽しみに!
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