「ウラカン」→"huracán" → 「ハリケーン」
スペイン語では H は発音しません。
(フランス語イタリア語なども同様ですが、ここではスペイン語の話だけ取り上げます)
調べてみると、どうも、昔は 息を吐く音(帯気音)として発音されていましたようですが、
(: "hu" は「ふ」という音を表記したもの)
14世紀頃には発音しなくなったようです。
(: 「ふ」という音は "ju" と表記する)
ところが、それ以降に生まれたスペイン語の単語に H が付いている言葉があります。
新大陸で生まれた言葉です。
コロンブスのアメリカ大陸到達が1492年ですから、その頃はスペインでは既に H は発音しなくなっていた筈です。しかし、新大陸に到達したスペイン人は、そこで新しく発見したものや新しい地名に、H を付けた名前をつけています。
例えば、嵐(今で言う 熱帯低気圧)のことを、地元民が「ウラカン」と呼んでいるのを聞いて、スペイン人は、これを "huracán" と表記しました。
(ちなみに、これが英語の ”hurricane"「ハリケーン」 の語源です。)
なぜ、"uracán" でなくて "huracán" なのでしょう?
「ウラカン」と聞こえたのなら、そのまま ただ素直に "uracán" と表記すればいいのに、なぜ、発音しない H を語頭に付けたのでしょう?
この疑問を考えるのに ヒントと成りそうな話をみつけました。
"huracán" の語源は、アステカの神話の神々の中の 天候を司る神の名前です。で、或る日本人の文化人類学者が、メキシコの先住民の村々を周り、神話を含むいろんな話を聞いて回った時の記録がありますが、それを読むと、彼は、先住民が語ったその神の名前を
「『ウラカン』もしくは『フラカン』」
と表記しています。彼には、『ウラカン』とも『フラカン』とも聞こえる、中間的な音だったのでしょう。
ここからは、私の想像です。
スペイン人は、新大陸の先住民の言葉を聞いて書き取る際、
「ウ」は "u"
「フ」は "ju"
この中間なら "hu"
と表記したのではないか?
この考え、いかがでしょう?
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