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自給菜園のすすめ その6「ペイフォワード」

「お金はいらない。」

友人から大豆の種を譲ってもらった。代金を支払おうとすると、「ペイフォワードにしましょう」と言われた。私はペイフォワードという言葉も、そのタイトルの映画の事も知らなかったので、友人に尋ねると、「お金は要らないから、作った大豆を次の作る人に渡して」といわれた。

『ペイ・フォワード 可能の王国』は、キャサリン・ライアン・ハイドの小説、および2000年製作の同タイトルの映画。ミミ・レダー監督。キャッチコピーは「きっかけはここにある!」 (wikipediaより)

受けた親切を、お金ではなく
次の人に3人、親切で繋いでいくことがペイフォワード。


ペイフォワードの意味は、人から受けた親切を別の人に返していく、という事らしい。3人の人に返していったなら世界は希望にあふれる、ということのようだ。友人が育てている大豆はその地で昔から作り続けている品種で、一人でも多くの人が作って後世につなげたいと思ってのこと。とても素晴しいと思うと同時に責任を感じた。これは、目に見えない親切や好意ではなく、種といういのちなのだ。

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種をつなぐことがペイフォワード

遅れてしまった田植え、長い梅雨で刈り取りのタイミングがなかなつかめない麦刈りや菜種の収穫。ギリギリのタイミングで何とか予定よりだいぶ少ないが大豆の種まきが終わった。そして、猛暑がやってきた。大豆はいちめん草の海の中。大豆の周りの草を刈りながら、ペイフォワードの意味を考えた。いのちのペイフォワード。種をつなぐ事ってそもそもペイフォワードなんじゃないか?

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種をつないでいく事って本当に大変なことだ。つなごうと思いながら、つなげなかった種が毎年ある。天候のせいだったり、草に負けてしまったり、種取りのタイミングを逃してしまったり。

何とかつなげているお米。稲刈りの時にいつも、いのちのつながりを感じる。刈り取って束にした稲。穂先には今年稔ったお米がたわわについている〜これは今年のいのち〜。その稲穂をつけている稲藁は春に蒔いた昨年の籾種の姿〜昨年のいのち〜。そして、束にして縛っているのは昨年稔りを付けた藁〜一昨年のいのち〜。
これ、いのちのペイフォワードだ。3年間でいのちはどの位増えたんだろう?
田んぼや畑が世界だったら、世界は楽園になる。

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いのちを育てて、いのちをいただき、いのちをつなぐ。そんな見方で畑に立てば、虫も草も敵には見えない。敵を立てて敵に打ち勝とうとしたら畑は戦場になる。農村の多くの畑は戦場になっている。自給菜園ならば、戦場にする事も戦士になる必要もない。畑のいのちの巡りに自らのいのちを添わせ、そのまま畑を楽園にして、楽園に遊ぶ精霊になれるのだ。

過去の自給菜園のすすめ1〜4はこちらから
・その1「自給菜園のすすめ」
・その2「種のまきかた(動画付き)」
・その3「プランターで自給菜園」
・その4「草は宝だ」
・その5 

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竹渕進 Susumu Takebuchi
1958年群馬県東吾妻町生まれ。
花園大学仏教学科禅学専攻。上智社会福祉専門学校児童指導員科。
31歳で群馬県倉渕町に就農する。
2018年から赤城山麓に農園を移して百姓継続中。
やまの子ども農園の先生もやってます。
2020年は "みんなの自給農園 出張ファシリテーター"はじめました。
ご要望の方は、ご連絡ください。みなさんの畑におじゃまします。

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すぎな農園
群馬県前橋市富士見町、平飼い養鶏と自然農で、野菜と穀物を栽培しているすぎな農園です。すぎなは畑の嫌われもの。でも、すぎなは、珪酸をはじめ、多くの薬効ある成分を、地中深くから地表に運んでくれているのです。
“かえりみられなかったもののなかに宝はある”「すぎな農園」という名前には、そんな思いが込められています。たまごは、ひよこからお米を中心としたエサで育てたニワトリが産んだ平飼いたまご。 耕さない畑で、農薬や化学肥料を使わずに季節の野菜を栽培しています。
農業の体験もできます。場所は群馬県前橋市。
お問い合わせは suginanoen@gmail.com竹渕 まで。

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