病院の看護師の大変さ、苦労を伝えたい。
都内の感染拡大が日々増えている中、関西の感染者数もかなり増えてきました。
東京はもちろんのこと、病院で働く医療従事者の苦労は図りしれません💦
僕は看護師なので病棟勤務している看護師さんが、今どれだけ多忙な日々を過ごされているかは、ある程度想像が付きます。
そんな最中ですよ、このニュースを見て僕も同じ看護師としてさすがに声を上げるべきだと感じました。
ただでさえ安い給料で働いている看護師が、いざ退職を申し出たらボーナス支給を検討って…
おかしい。支給されたとしても辞めた方がいいレベル。
病院や施設によって待遇は違いますが、看護師の給料は決して高いとは思いません。
この表を見てどう感じるかは人によると思いますが、看護師の給料は高いと感じますか?
看護師と聞いて、忙しそう、大変な仕事だと一般の人でもそういう認識があるかと思いますが、実際の業務についてはイメージが付きにくいと思います。
人の下の世話など汚い仕事が付きまとう。注射をするのが難しそう。夜勤が大変そう。
こんなイメージをされる方が多いのではないでしょうか?
これらは業務の中の一環に過ぎず、別に上記のことが大変なわけではありません。
過密なスケジュールを立てた上で、患者さんの一日の健康状態、行動計画を管理するのが大変なのです。
今回は実際僕が病棟勤務していた頃の、1日の日常勤務についてざっくり紹介したいと思います。
読んでいただけると、パンク寸前になりながらもコロナウィルスに感染した患者さんを受け入れている病院がどれだけ多忙であるかが想像つくと思います。
僕は2017年まで、外科病棟で勤務していました。
主に手術のため入院している患者さんが多い病棟です。緊急で入院してくる患者さんも受け入れるため、病棟の部屋はほぼいつも満員の状態でした。
ベッドの数は40床。日勤帯で勤務する看護師は大体10人ほど。
中でも看護師のリーダーや師長は、病棟をラウンド(看護師を受け持たない)しないため、実質8人で40人を割り当てる感じになります。
なので1人で5人の患者さんを受け持つわけですね。
これを前提として話を進めていきます。
まず8:00頃病棟に入ります。この時間帯はまだ夜勤帯の看護師が病棟をラウンドしているためこの時間帯を利用してカルテから受け持つ患者さんの状態について情報収集します。
点滴の交換時間、手術の予定時間、手術後の患者さんの傷の処置、医師の指示内容、夜勤帯の時間の間に変わったことがなかったかなど必要な情報をスケジュール表に書き込んでいきます。
この作業を大体15分程度で終わらせます。
その後、ドクターが病棟に手術後の患者さんの状態を診察に来るので看護師はその補助に付く係と、全ての患者さんの点滴のチェックと準備に取り掛かります。
診察とはどういうことをするかというと、手術後の患者さんは縫合している傷の状態や、ドレーン(体の中に差し込んでいる管)の中に入っている廃液の状態などの観察が必須なのでそれを診て周るわけです。
全ての患者さんを数名のドクター看護師で診て周るのに15分ぐらい。この時点で8:30。ナースステーションに戻り朝礼し、師長の話を10分程度聞いてここから1日がスタートします。
朝礼の後、夜勤帯の看護師が日勤帯の看護師に申し送り(患者さんの夜勤帯での様子について通達する)を聞き、その後リーダーの看護師と調整を行います。
ふう、、、、ちょっとここで一呼吸つきましょう(笑)
書いてて疲れました(;´Д`)
実際は全く息をつく暇もないですけどね(笑)
ここからは目次を作った方がよさそうですね。
1.清拭、下の世話
時刻は9:00前。
さて、ここから実際に患者さんのところへ行くのですが、患者さんの中には歩けない人もたくさんいるのでそういう人たちの下の世話(おむつ交換)や清拭を看護師全員で一斉に取り掛かります。
臭い、汚いなんて言ってられません。便の状態や尿の状態の観察も大事でここで異常(尿の色や便の色、量などがおかしい)があればすぐ担当医師に報告しなければなりません。
※看護師は医師の指示を受けて処置を行わなければならないルールがあります
大体20分ほどで終わらせます。
2.点滴の交換、バイタルサインチェック
受け持ちの患者さんの部屋に向かいます。挨拶し、世間話や訴えを傾聴した後バイタルサインチェック(検温、血圧測定、呼吸状態の観察など)を行います。
点滴の交換、ドレーンの管理(廃液処理、抜けていないかなどのチェック)、心電図モニターの観察なども行った後、1日のスケジュールを伝え次の患者さんのもとへと向かうわけです。
3.検査の送り出し、手術の送り出し
検査(MRIやレントゲン、CT検査、内視鏡検査など様々)や、手術のある患者さんは必ず決められた時間に送り出す必要があります。検査にしても、手術にしても直前の患者さんの状態を確実に手術室、検査室の看護師に申し送るのも必須業務です。
4.配膳
正午頃に患者さんの昼ごはんを配膳します。看護助手さんも手伝ってくれますが、食べ終わった後の摂取量の観察も大事な看護師の役目になります。
5.休憩
昼休憩を40分ほど。急いで食事を済ませ少ない休憩時間で他の看護師とどうでもいい話をします。(大体が患者さんやドクターに対する愚痴話)
僕はホントにこの時間が嫌いでした。休憩くらい1人でゆっくりしたいし(-_-;)
6.午後のバイタルサインチェック
午後からのバイタルサインチェックを行います。そうこうしているうちに手術を終えた患者さんも戻ってくるのでそのことを念頭に置きながら周ります。少しでも空いた時間は全てカルテの記録作成に時間を充てます。(カートを押しながらキータイピングしてました)
7.手術後の患者さんの迎え、術後の管理。
手術後の患者さんはベッドで病棟に帰ってきます。ドクターを一緒に押しながら病室へ運び入れ、ドクターからの指示を受け患者さんに必要な注意点などを説明します。(起き上がってはいけない、水は飲んではいけない、痛い時はナースコールを押してくださいなど)
8.夜勤帯看護師への申し送り
午後4時ごろに夜勤帯の看護師が病棟で情報収集を始めます。夜勤帯にスムーズに勤務の引継ぎ、申し送りが出来るように、出来るだけ受け持ち患者さんに対してのケアや処置は日勤帯で行う必要があります。
不安にさせない心遣いや、声掛けも大事な看護師の業務です。
9.カルテへの看護記録の作成。
午後5時ごろに記録の作成や、明日のスケジューリングをします。ここまででもうへとへとですが、まだまだやることがあります。
受け持ち患者さんが近日退院する予定なら、退院先の施設や、かかりつけ医に対する情報提供の書類(看護サマリー)を作成しなければなりません。
10.ミーティング
記録の作成の合間にカンファレンス(ミーティング)をします。カンファレンスでは業務の改善点やある患者さんの状態などを議題として挙げ、話し合う感じです。
こんなことをやっている内に大体、午後8時くらいになっています。サマリーの作成や、勉強会の資料作成、看護計画の作成などの期限が迫っていると10時ぐらいまで残業することなんてザラにありますwww
大体ざっくりですが、僕が務めていた病院の1日はこんな感じです。
いかがでしょうか?実際はもっと細かい業務もたくさんあります。
緊急入院してくる患者さんの受け入れ、採血や点滴針の入れ替えや導尿(陰部に管を入れて尿を出す処置)、摘便(肛門に指を入れて便を掻き出す処置)などまだまだたくさん(;´Д`)
こんなに残業してもサービス残業でやっている病院もたくさんあります。
むちゃくちゃ大変なんです。
給料は僕の場合は夜勤に入る回数にもよりますが、大体手取りで月24~25万円程度でした。
はっきり言って糞です。
そして、看護師には責任が付きまといます。
処置一つ間違えれば命に関わる危険性と隣り合わせです。
よく医療事故などを起こした病院がニュースで取り上げられたりしますが、もちろん病院側の責任が問われて当たり前です。
しかし、その背景には様々な要因があるんだと知っていただければ幸いです。
看護師に限らず、病院勤務する医療従事者は離職率が非常に高いです。
常に人員不足が問題となっています。
待遇の悪さ、人間関係、古い医療体制の環境問題などなど。
政府は医療に対する危機感を感じているのかと問いたい。
GoToキャンペーンなど今やるべきことなのか???
切り捨てられた看護師ら医療従事者の叫びを、政府は受け止めるべきだと切に思います。
今回の記事は非常に長くなってしまいましたが、いち看護師として少しでも多くの人に知ってもらいたい内容です。
病院に勤務する医療従事者に対しての批判や、中傷があれば僕もこれからは出来るだけ声を上げていきたいと思います。
ここまで読んで頂き本当にありがとうございました。
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