シスコで手に入れたカラフトのCD

シスコテクノ店というと、今やすっかり渋谷に出向いた際には誰もが立ち寄るテクノ屋さんとして定着してしまった感があるけれど、実はまだ専門店がオープンしてから今回で3周年を迎えたばかり。言われてみれば確かに。そんなテクノ店が毎年この時期になると記念セールと題してレコードを100円or200円オフで提供してくれるのはなんともありがたい次第なのですが、今回はそれだけにとどまらず、8千円以上買うとカラフト(名前の下にSoundcloudのリンクを貼っているので是非とも聴いて!)とmoochyのMIX CDが貰えるという恐ろしい太っ腹ぶり。商売っ気を感じさせないのに購買欲を刺激するので最終的に商売上手、という巧い企画に私が乗せられないわけがなく、というか「私の為にある」という錯覚まで起こしたり。その為にレコードを買うのも少し控えめにしていざシスコへ向かえば、今まで迷った時に「次にしよ。」と後回しにしたまま買い逃していたものがやたら目について「8千円位って結構難しい…」。「8千円位」じゃないですよ〜、「8千円以上」ですよ、お客さん!と言われたとか言われてないとか。

カラフトとは言うまでもなくとれまのDJの別名義。内容はいつものミニマル男(ミニ・マルオ)とは色を変えたブルーなハウス路線で、8月のUNTITLEDのパーティーを満喫した人間にはたまらないノリ。普通に家でのBGMとしてめちゃくちゃ活躍してくれるのだけど、明らかにホーム・リスニングの枠にとどまらない流れの気持ち良さには目を見張るものがある。構成の作り方、選曲の良さ以上に曲のつなぎ方の巧さに驚いた。ワールドフェイマスなプロのDJに向かって「つなぎが巧い」とはちょっと言葉が違うかもしれないが、でも私は本当に感動してしまった。

昔DJをやっていた知り合いがクラッシュのDJを一緒に観た時に、「つながなくてもいいんだ。」と洩らしていた。確かにクラッシュのDJパフォーマンスは曲がつながっていないことを不安にさせない。それだけの力量がある。それが技術というものなのか、ピッチを合わせ続けるDJは当たり前すぎるのかと思わせるほどだ。だけどこのDJの技術はそれとはまた違う。だってこのマッシヴ・アタックあたりからの曲がきちんとつながっている時の圧倒的なグルーヴ感は何なんだ。曲の入れ替わりがわかるのに抵抗のない展開。いい曲が更にいい曲に聴こえるムード感。DJの定義としては当たり前の話だけれど、これだけシンプルな内容だとごまかしがきかない分、こうして明確に見えてくるのがよくわかる。こんな基本的なことを確認する機会があまり無いのは、それだけのことをやれているDJが多くはいないということだと思う。

それにしても田中フミヤのDJのいいところは、聴いている人間をばっちり踊らせてくれるというところだ。比べるわけではないが、先ほど述べたクラッシュのDJは、ライブな衝撃が大きい分、立ち尽くしてしまうことの方が多い。そういう凄さだ。しかしこのDJはいくらターンテーブルを3台駆使しようと、技術に走りすぎず、最終的に踊らせてくれる。そしてその楽しませ方は「楽しければ何だっていいじゃ〜ん。」というような投げやりなものではなく、終わった後にちょっと喋りたくなるような、どこかに書き留めておきたくなるような気分をもたらしてくれるから大好きだ。

(SUGERSWEET第10号 クラブ中毒者の手記風
きこえない夜には 1997年10月)

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音楽殺人→シュガースウィート。ひとりでブツブツと音楽の話をしてるだけ。

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  • 25本

1994年〜1998年までのテクノやクラブ・ミュージックを中心としたミニコミ誌。

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