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待機児童を抱えながら仕事を続けるために、大切なこと

2016年3月に出産してから、2017年4月に息子が保育園に入るまでの1年ちょっと。子育てしながらも、出産前とさほど変わらない量の仕事をしていた。勤務時間は4割カットで案件のボリュームは3割減、収入は1.5割減というところ。実際にどんな暮らしをしていたか、振り返ってみる。

基本的に、平日の午前中は子どもと2人でのんびり過ごす。取材や打ち合わせなどの外出は、なるべく午後に固める。そして週1回はお義母さんに、週2~5回はベビーシッターさんに、12~18時で子どもを預けることが多かった。18時に帰宅したら、子どもにごはんを食べさせて、大人の食事の支度をして、20時すぎに夫が帰宅。みんなで一斉にお風呂に入り、子どもを寝かしつけてから夫婦で夕食をとる。夫と手分けして後片付けや洗濯などを済ませ、少し休んでから、原稿を書き始めるのは23時頃。ここで集中して作業を進め、遅くとも2時頃までにはベッドに入る。もともと徹夜はしない主義だし、ここから朝までに1~2回起きて授乳をするため、それなりに寝ないと体力がもたない。 

このスケジュールは月齢が10ヶ月くらいのイメージだけど、1ヶ月でも6ヶ月でも、授乳回数が増えるくらいで基本は同じ。取材や打ち合わせの予定に応じて、預ける時間帯には多少変動があるものの、デスクワークにあてられる時間は変わらない。午前中に無理やり書く、という選択肢もあるっちゃあるけれど、気が散ってイライラするのが目に見えている。だから家で仕事をするのは、子どもを預けているときと寝静まってから、に限っていた。土日は夫と相談して、進捗のやばいほうが作業時間を多く取るような感じ。働ける時間が減るのは仕方ないので、案件の単価を上げるように心がけて、大幅な収入ダウンを防いだ。 

ちなみに、朝から晩まで出ずっぱりのときは、夫の出勤時間に合わせて子どもを預ける。地味につらいのが私の胸で、授乳できないからぱんぱんに腫れて熱を持った。一方、子どもはミルクで事足りるし人見知りもないので、けろり。

見落としがちな“調整のコスト”が一番重い

スケジュールだけ見ると、時間の制限やシッターさんにかかる経済的負担がしんどいように思えるけれど、そこは言うほど苦にならなかった。何が一番ストレスだったかというと、時間のやりくり。仕事の依頼があったら、まずは子どもの預け先を確保しなければならない。昼間のアポならお義母さんかシッターさん。夜間や早朝なら、夫の予定も確認する必要がある。自分のスケジュールが空いているだけでは、クライアントに即答できないのだ。特に、ぎりぎりまで決まらない取材に合わせて、うまく調整しなければならないのが、めちゃくちゃ手間だった。私自身もやってみるまでわからなかったけれど、時間やお金の負担と同じくらい、調整コストがずっしりくる。まじでばかにならない。

クライアントへの状況報告は、つぶさに

よい関係のクライアントは、産前産後も変わらずに仕事をくれた。「どんなふうに頼めば、取材お願いできる?」と聞いてくださったりもしたので、正直に「シッターさんが押さえられたら当日でもいけますが、1週間前に決まればほぼ確実に大丈夫です」などと答える。こちらから候補日を出す場合も「10日は終日OK、11日だと調整が必要、12日は子連れでよろしければ可能です」などと詳しく、誠実に。相手が選べるように候補を出しておくと、カジュアルな打ち合わせなら「では子連れで! 弊社はソファーもあるし、おむつ替えもOKです」などと言っていただけたりする。

それから意外と多かったのが、産後に初めてコンタクトしたときに「え、もう取材頼んでいいの? 遠慮してた」と言われること。ただの社交辞令で、単純に頼む仕事がなかったのかなと思ったりもしたけれど、そういうやりとりのあとはいつもすぐにご依頼をいただいた。あらゆるところで「産前産後休みません! 取材も行きます!」と言っていたにもかかわらず、自粛されてしまったので、うるさいくらいアピールしなきゃいけないなと思った。そして興味深いことに、そういう遠慮をなさるのはなぜか男性の担当者さんばかりでした。

子どもを預けるひとと、クライアントを信じること

こうして振り返ってみると、待機児童を抱えながら仕事を続けるには、とにかく周りとの信頼関係が大事だなと思う。仕事をしている間、子どもを預かってくれるお義母さんやシッターさんを信じること。夫といつも支え合うこと。自由が利かない私と一緒に仕事をするために、いろんな配慮をしてくださるクライアントに感謝すること。そしてもちろん、お世話になっている方々に、仕事できちんと応えること。結局は、これに尽きるわけです。

Photo: 休みの日、昼間から原稿を書いている私の様子を、書斎に見に来た子ども(と、ドアの後ろで支えている夫)

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