そんとくさんとあっけらかん(損得さんと呆気羅漢)Pt.13

{続き}

くすっと笑うお母さんもいました。
”呆れた~”と云った顔を見合わせるお母さんも、
嬉しそうな顔をする人も、
教室を出るとき「私もですよー」と声掛けていく人もいました。

そんとくさんは 校門を出ると、
振り返り振り返り 得江さんの前を歩いて行きます。

「お母さん 恥ずかしい?」そんとくさんは聞いてみました。
「ううん~ちーっとも」 得江さんはニッコリしました。
(よかった)そんとくさんは駆けて行きます。

得江さんのお父さんも”漫画なんか”とバカにするような人でした。

得江さんも 漫画を好きな自分が好きでした。
漫画を見て 泣いたり笑ったり出来る 自分が好きでした。

だから 大切にして欲しいのです。
得江さんも そんとくさんが大好きなのです。

二人は学校近くの商店街に向かいます。
商店街の入り口に 小さな小さなコロッケ屋さんがあります。
半間ほどの囲いの中に 油鍋一つあるだけでした。

大きなバットに並べられたコロッケの種を
ポンポン放り込んで揚げていきます。
”肉入り”と紙が貼ってありますが、
ほんの気持ち お芋に紛れて 埋もれながら
「あるんだよー」と言っています。

でも 肉入りの気持ちで食べると
立派な肉入りコロッケに変わります。

参観日のお昼は 必ずコロッケなのです。

熱々の揚げたてコロッケを 人数分買って帰ります。
そこに ソースをたっぷりかけて食べるのが そんとくさん流です。
おじいちゃん おばあちゃんは 醤油を少し
又は そのまま食べます。
お兄ちゃんはケチャップ お父さんは辛子とケチャップ
お母さんは 辛子ケチャップとソース半分ずつです。

待っている間に 羅漢ちゃんと弁天さんも来ました。
4人はニッコリ 一緒です。

二人は 揚げたてコロッケを抱えて 走って行きます。
”早く! 早く!!”
二人は走って行きます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?