サンタ日記 pt1

サンタは三角山のとっぺんから、麓の漆黒の世界を見下ろします。
煌々と灯るネオンサインの畳が、彼方にもこちらにも散らばっています。
畳の数は益々増えて行き、一面を覆ってしまいそうなほどです。

上空では赤いネオンがちかちかと、飛行機の爆音と共に飛び交っています。

サンタはもう3億年ほども前から地球と故郷の星であるシリウスとを
何度も何度も往復して来ました。

ムーの時を超え、アトランティスの時代を過ぎ、新たな文明を築き始めた時もサンタはずっと一緒に居たのです。

サンタは地球の生命が好きです。
地球もその上に住まうものも、総て何故か愛おしくてたまらないのです。
どんなに血を流す喧嘩をしても、いがみ合ったり口もききたくない時もあったり、嫌がらせをしたり、大変な事も止む時も無く、

それでも希望を失わない人達が、かならずいつも何処かに居るのです。
生命を愛して止まない人達が、「生きたい」と願う人達が必ず
この地球上に居るのです。

サンタはそんな人たちを見る度に、
新たな愛と希望を見つけるのです。
それまでサンタの感じる事の無かった
温かな思いが、溢れるほどに、溢れるほどに
湧き上がってくるのです。

何度ももう 地球に行くのはこれで御仕舞。 と思っても。
シリウスに帰り、エネルギーを充電して来ると、
地球の事が気になって、じっとしていられなくなるのです。


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