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「伝え方が9割」ではなく「中身が10割」

同じ中身でも「どう伝えるか」が大切だと言われます。

でも、P&Gのマーケターとして活躍したのち、USJの立て直しをされた森岡毅さんは、著書の中で

「伝え方が9割」ではなく「中身が10割」

と仰っているんです。

私の浅い理解ですが、マーケティングって「伝え方によって人の認識を変える」という面があると思っています。

だから、マーケティングのプロの方が「中身が10割」と仰っているのはすごく驚きでした。

本の中では、次のような話が出てきます。

相手に伝えるときの要素を「中身」×「伝え方」としたとき「伝え方」をいくら磨いたとしても「中身」がゼロならば何も伝わらない。

逆に「中身」がしっかりしていれば、多少言葉が拙かったとしてもしっかり伝わるはず。

そして「伝え方」は全くのゼロになることはほとんどないけれど、「中身」は気をつけないと容易にゼロになり得る。

たしかになぁ、と思いました。

同じくP&G出身のマーケターの方が「プロダクトを磨ききっていないのにマーケティングをいくら高度化しても意味がない」と仰っているのを聞いたこともあります。

最近はスタートアップでもテレビCMやタクシー広告を使う流れがありますが、プロダクトが磨かれていない場合はいくらお金を注ぎ込んでも無駄。むしろダメなプロダクトとして認知が拡大して、後戻りできなくなる。

この話も「マーケターの方が仰っていた」という点が私にとってはすごく印象的でした。

あくまで素人の推測ですが、マーケターの方々は「伝え方」をきわめているからこそ「伝え方」ではどうにもならない「中身」の大切さを誰よりも強く認識できるのかもしれない、と思いました。

「肝」をつかめるか

編集者の柿内芳文さんは、原稿をつくるときに「肝をつかめるか」という言い方をされていました。

私自身「肝」というものを完全に理解できているわけではないのですが「いちばんおもしろいコアの部分」「その原稿をその原稿たらしめるもの」というイメージだと思っています。

「肝」さえつかめれば、編集者の仕事はほとんど終わりなのかもしれません。

おそらく「肝」を自分なりにつかんで、それがしっかり表現できていれば、言葉の表現や文章のつながりは多少粗くてもいいんだと思います(もちろん軽視してはいけないですが)。

これも「伝え方が9割ではなく中身が10割」に近いと思いました。

いろんなテクニックが目につきやすい世の中だと思います。でも、本質はやっぱり「中身」。

伝えることのプロフェッショナルの方々がそう言っているのは、なんだかとても元気が出ます。

「中身」を磨くって、たぶんとても辛いことです。もし空っぽだったら、そこに徹底的に向き合わないといけない。

そういうときに「伝え方」に逃げてはいけない。文章術やコミュニケーション術のテクニックは、時として「逃げ」になってしまうものだと思いました。

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