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異国からの手紙

昼間に、郵便が届いた。

そのうちの一つが、宛名のないもので、配達員の方が、ここの住所だけど、これはあなた宛ですか?と聞いてくれた。

ドイツからで、送り主に友達の名前があった。

海外に送る物はいろいろと書かなければいけないので何かを書き落としてしまうのはとてもわかる。受け取れて本当によかった。

デンマークの学校にいた時の友達とは数人、手紙や一年に一度程度、小さな贈り物のやりとりをしている。

韓国、フランス、ドイツ。ベトナムは送っても(送られる時もかな?)ロストしてしまうらしく、一度送ることができたきりだけれど、その代わりSNSのおかげで時々近況を知れている。

ドイツの友達は、素敵なミュージシャンで、バンドの授業を一緒に取っていた。私は、ドラムで参加していて、彼女はピアノを弾いていた。

ギターを弾いて歌っているのを、時々見かけた。彼女が歌っていると、誰かが楽器を持ってきてそれに参加し始める。

水のような歌声で、彼女の声を聞いていると、空に向かって美しいものが突き抜けたり駆けていくようなイメージが浮かぶ。声だけで、そういうイメージをくれるような人は自分にとっては多くない。

時々手紙を交換する仲になった私たちも、最初から仲が良かったわけではなかった。バンドの授業をとっていても、私は、学校の始まりは特に自分の英語に不安があったことと、午前中の授業が眠すぎて休憩時間は必ず独自のコーヒーブレイクをキメていたので、バンドのメンバーとクラス以外で密に話すことがほとんどなかった。音楽のスタンダードも、日本と欧米文化は当たり前に全然違うので、彼ら(欧米の10代)のスタンダードに最初はなかなかついていけないのでは、と弱気になっていたりもした。

そんなわけでやや緊張していたのだけど、演奏をとても褒めてくれたり、演奏終わりにふざけておバカなジェスチャーをすると笑ってくれた。みんなとても優しかった。

後半に差し掛かった頃、ひょんなきっかけで歌を披露した。いろんな人から嬉しい反響をもらい、それだけのことで、不思議とコミュニティで生きやすさが増した。

その後、ルームメイトの女の子が一緒に歌おうよ、と声をかけてくれギターを弾いてコーラスをつけて歌った。それを聴いてくれた、そのドイツの彼女がまた「一緒に歌おう」と声をかけてくれた。とても嬉しかった。

ある時彼女が、ボブ・ディランの ”Don't Think Twice ”を弾き語って聴かせてくれた。とても感動して、その時からずっと、聴き続けている。また彼女の声で聞けたら、とその度に思っている。

近況が書かれた手紙の最後に、小さな紙に、歌詞のアイディアを同封したよ、とあった。
素敵な歌詞が同封されていた。

なるべく早く、これに曲をつけるよ。そんな夏にしよう。
自分の曲だって、難しい詞先だけれども。

まだまだいろんなことが心配だけれど、掌に光をもらった気分。

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