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僕の、小さな大冒険②【#ノートの切れはし】

「僕はトウキョウに行けないかもしれない」

ここは、東京駅上越新幹線乗り場の改札出口前。

僕は改札前で絶望していました。

新幹線の切符を持つ腕が汗ばむ。そんな僕をよそに改札からは次々と人が出ていきました。

初めてのトウキョウ、初めての体験、初めての絶望。僕はトウキョウの厳しさに打ちひしがれていました。





前回、憧れの“トウキョウ”行きが決定した後、親がトウキョウ行きの手配をしてくれました。

トウキョウ行きが決定したあとは、とにかく喜んだのですが、この時は知るすべもなかったのです。これが”旅行”ではなく”冒険”だということを。


※前回のお話


僕の冒険は、新幹線から始まりました。てっきり親が一緒について来るのかと思ったけど、どうやらそうでなかったのです。ひとりで新幹線に乗り、トウキョウへ行く。冒険への船出はひとりでした。

そう、『ONEPIECE』の主人公、ルフィのように、故郷を飛び出しこの広い世界へ踏み入れたのです。

新幹線のホームまで見送りに来てくれた母親は「いいかい、終点の”トウキョウ”で降りるんだよ」と、心配そうに言いました。不安だったんでしょう。それもそのはず、小学4年生がひとりでトウキョウに行くのだから。

僕は強めに「分かった!」と言い、新潟の地を後にしたのです。





強がったものの正直、不安でしかたなかったです。

”終点”と言われたとしても、普段から電車に乗る習慣がない僕からしたら、終点の意味が分かっておらず、スマブラのステージ「終点」しか思い浮かびませんでした。

おそらく言葉の意味からして最後の駅のことだということは察していたのですが、確信はなかったため不安でした。

片道2時間ばかりの旅路で飽きないようにと渡された『元祖 浦安鉄筋家族』。これを読んでいるうちに、気付いたら車内のアナウンスで次の駅がトウキョウだということが告げられました。

よかった、どうやら憶測は当たっていたんだ。安堵する僕。

トウキョウ駅に着くと、トウキョウに住んでいた従兄弟一家が出迎えてくれました。安心しきった僕は、従兄弟の母親の胸をガン見しながら、

(なんだ、トウキョウってのも簡単に来れるんだ)

と思いました。

ひとりで新幹線に乗るという未知の体験だったのだが、案外なんとかなるものだと安心した僕。この冒険は案外楽勝かもしれない。しかし、安心したのもつかの間。あることに気付きました。

(あれ? 僕の持っている切符が従兄弟の持っているものと違う...)

僕の持っている切符は、新幹線の切符なので電車の切符より大きいものです。しかし、従兄弟の持っている切符は小さい。当たり前ですが、入場券と乗車券・特急券を持っている僕のでは違います。

しかし、その違いすら分からない僕は、

(あっ、間違えた切符を買ったから俺は降りられないんだ)

と、勝手に思い込みました。

改札へ向かう従兄弟をよそに、絶望する僕。

このことをいとこに言いたくても言えない、間違えたことをした自分は怒られるんだ。いやだ、怒られたくない。そんな気持ちを抱いたまま、ついに改札の目の前まで来てしまいました。


改札から次々と人が出て行きます。

でも、僕だけ出ることはできない。やはりトウキョウは甘くはなかった。僕がトウキョウの地に足を踏み入れるにはレベルが足りない。スライムを倒してレベルを上げてからじゃないと来てはいけない場所なんだ。

すでに、このトウキョウを新潟と違う異世界か何かと思い込んだ僕は打ちひしがられました。


と、そのとき、僕は思いつきました。

(従兄弟と一緒に出れば良いんだ)

そう思った瞬間、すでに僕は行動していた。同じぐらいの背丈の従兄弟長男の背中にぴったりとくっついて、あたるか当たらないかのところをギリギリでキープ。従兄弟の足を出すタイミングと歩幅を合わせて、改札を通りました。

幸いにも、改札は音を出さずに僕らを通してくれました。もしかしたら、僕を迎え入れてくれたのかもしれません。

無事に改札を出て、一安心。

そんな僕の奇行を見ていた従兄弟の母親が一言。

「持ってるその切符で出られるんだよw」





…いや、知らんがな。





次回、最終回。


***


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都内で編集兼ライターをやっています。現在ライティング勉強中。箕輪編集室ライターチームで活動をしています。
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