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フォロワー1,000人と小確幸。

午前中の仕事が、相手方の都合でキャンセルになった。これ幸いと、本棚に並んでいた『BRUTUS 〜とんかつ大好き〜』を引っ張り出して、パラパラと頁をめくった。あった、あった、しばらく心奪われていながらも、都合が合わずに焦らされ続けていたお店。

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一通りの仕事を片付けて、シャワーを浴びて、電車へと向かう。行き路のお供は、『カラマーゾフの兄弟』。はちゃめちゃでぐちゃぐちゃな人間模様がヒートアップしはじめて、乗り換え駅を乗り過ごしそうになった。そんなこんなで八丁堀駅に着いて、歩くこと5分弱。ビル街の真ん中に看板を発見。

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お店の名前は『ロダン』。カツカレーのお店だ。食券を買って、重厚な木の扉をグッと押すと、時代を感じさせる懐かしい雰囲気漂う店内。お母さんの得意料理を心待ちにする子どものようにカツカレーが運ばれてくるのを待つ。・・・キタ。

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ちょっと斜めからの角度も。

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いちばん最初に、左端のカツをルーにひたす。それには口をつけずに、右側のカツをサクッと食べて、ルーをかけた白ご飯をパクリ。うまぁい。なにも考えられず、ひたすら黙々とモグモグ食べる。たまごを一口かじると、なんとも芳ばしい。燻製たまごのような。さらにご飯がすすむ。そして、最後の一口。最初にカレーにひたしておいたシャバシャバのカツをほおばると、カレーの旨味がしみ込んだいい味になっている。やっぱり、うまぁい。

ぼくは食レポ専門家でもないし、当然カレーの専門家でもない。だけど、帰りの電車のシートに座るなり、この体験をパソコンに打ち始めていた。

ちなみに今日は、noteのフォロワーが1,000名を突破した。すごく嬉しいけれど、まだ特別な実感はない。それはそうだ。あるのは、一文一文、ひと記事ひと記事を書き続けて、フォローしてくれる人が一人またひとりと増えているという事実だけなのだから。

特別なことことであり、特別なことでない。

どんなことがあっても、なくても、その一日はすばらしい。

そんなことを考えていたら、村上春樹さんのツイッター(bot)にこんなつぶやきが流れていた。

フォロワー1,000人も行きたかったカツカレー屋さんに行くのも、どっちがすごくて、すごくないということはない。末吉宏臣というひとりの人間の2017年9月5日という一日に起こった身近な出来事だ。(なんなら、ほんのちょっとやる気を出して、ベットのまわりの掃除を一気にやったのだってそれだ)

「小確幸」とは村上春樹さんの造語のようで、「小さいけど、確かな幸福」のことを指すとのこと。

じぶんでは体感できない日本やら世界の問題より、えらい学者や経営者の人たちが語る主義主張より、じぶんの毎日や身近にある何かのなかに大切なものがあったりすると思う、今日この頃。

それって、小さいけれど、確かなものだから。

なんてことを書いて自宅に戻ったら、鈴虫の鳴く声が聞こえた。そっと立ち止まってしばらく目をつぶって耳を澄ませる。

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なんてことを書きながら、自宅では奥さんに「すごいでしょ!」と認めてもらおうとしたりする部分もあり、我ながら面倒くさい人間です。

また淡々と粛々と着々と、書いていきます。タイミングの会うときに、遊びに来てくださいね。

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