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ぼくとぼくのシーソー。

じぶんってすごいの? すごくないの?

ほんとうはさ、どっちなの?

ねぇ、だれか、教えてよ。

そうつぶやいても、答えは返ってこない。

あ、ちがったちがった。

ずいぶんと、たくさんの答えをもらってきたんだった。

親から、先生から、友だちから、上司から、後輩から。

もう二度と聞きたくないほうの答えも。

顔がほころんでしまうような嬉しいのほうの答えも。

それでも、些細で、壮大な論争はおわりを迎えていないぞ。

おかしいな。

また、ぼくは、首をひねる。

すごくなりたい、ふつうのぼく。

ふつうをよそおう、すごいぼく。

どちらが、ほんとうのぼくなのか、ずーっと競争してきた。

がんばって、いっときはどちらかがリードする。

でも、しばらくすると、疲れちゃう。

するともうひとりが、「ぼくのほうが!」と抜き返す。

おわりのない争い。

それに巻き込まれて、ぼくまで疲れちゃったよ。

なんかヘンだな。

首をうなだれ、考え込んでしまう。

そんなぼくを見つけた、

すごくなりたい、ふつうのぼく

ふつうをよそおう、すごいぼく

ふたりが競争に飽きたのか、ある方向に一目散。

向かった先には、まっ白いシーソー。

ふたりはふた手にわかれる。

シーソーの両側にピョンと飛び乗る。

ギッコン。

バッコン。

ギッコン。

バッコン。

ふたりの顔は、わらってる。

ふふっ。

なーんだ、そういうことか。

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いやぁ、こりゃまたずいぶんと、趣のちがう文章が出てきましたね。じぶんでもビックリしています。まだ最後の抜けきれない風邪の熱のせいかな?

まぁ、こういう日もあるということで。

そんなハートフルっぽいものを書いたぼくの目の前には、こんなものが置かれています。

これはね、ヤバいです。

もちろん、いつか、どこかで、紹介したいと思っています。(真正面からか、形を変えてかはわからないけれど)

でも、この表紙からナニカを感じる人は、読んでみてほしいなぁ。何の保証もしませんが…。

絵本『おぞましい二人』(河出書房新社)

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