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『新・トルコで私も考えた2023』

高橋由佳利さんの『トル考』最新刊。
平成13年の夏に、トルコ旅行することになった。その時に知人から「おススメ」されたのがこのシリーズ。もう20年以上も前になるのか…。

初読の頃は、少女漫画家の高橋さんがトルコ人男性と結婚し、ケナン君を出産し、異文化の違いに戸惑っていた時期。
今は愛息のケナン君は巣立ちをし、旦那さんはトルコで妹さんと暮らし、高橋さんは日本で暮らしている。ご本人曰く「今はトルコにいないので、タイトルと実情が合っていない」ということだが、相変わらず面白い。

今回は個人的に共感したところを、いくつか抜粋。

巣立ちの季節

コロナ禍の2か月間、実質24時間は息子さんと二人で閉じこもっていたそうだ。息子さんが家から出て行ったときに「さすがにお腹いっぱい」とさっぱりした、というのは何となく頷ける。大事な家族でも、あまり密着しないほうがうまく行く。

とはいえ、巣立ち後にややパニックになったらしい。

「新・トルコで私も考えた2023」@高橋由佳利

特にこの2コマ目は、共感しかない。
早期退職後にフリーになり、一時期「何か充実した時間を過ごさねば、何かを始めねば」と思った私。空の巣症候群とは異なるが、由佳利さんの話は非常に参考になった。

私もペットは「面倒だし、死ぬからイヤ」。それとアレルギー持ちなので、毛足の長い動物は飼えない。

習い事は「特にやりたいことがない」。他の人の向上心はすばらしいと思うけれど、もう比較の世界で生きていないので、つられて頑張る方向には舵を切れない。
派遣仕事をするも「意味のない仕事とイジワルお局に辟易」したのでもう働きたくない(なおフリー転向後に収入アップ)。
推し活は無理(もともと執着心が薄いので)。

この後、由佳利さんは60代にして八百屋のパートに申し込んだり、シニアスポーツクラブに体験に行ったりするが、いずれも成就・継続に至らず。
私も骨が弱いので重い荷物を持てない(その上、記憶も悪くなっているから却って皆の足手まといになる)だろう。運動神経抜群の、やる気に満ちたシニアのスポーツクラブにはまず入れないな…と我が事のように共感。

「やってみなきゃわからない」「自分の可能性を試す」というのは若い時代の台詞で、ある程度年を重ねたら「それを行動に移した場合、どういう結果になるか」という見通しはつくものだ。私の場合、我を忘れて何かにのめり込むことはないだろうな…そもそも地球生活は幻想に過ぎない、と割り切っているし。

イスタンブール新空港

イスタンブール新空港にて。入国審査官の二人の女性が態度が悪く、リンゴを齧りながら審査をし、審査が終わった後に(相手にわからないと思って)トルコ語で陰口をいったり…というのにはびっくり。
由佳利さんの番になったら、トルコ語の苗字を本人の目の前で嘲笑したという。由佳利さんは夜中の3時に激怒したそうだ。

「新・トルコで私も考えた2023」@高橋由佳利

日本人では、まずあり得ない対応。鴻上尚史さんが「日本のサービスの良さ、居心地の良さを享受するなら、同調圧力も引き受ける必要がある」と語っていたが、やっぱり私はきちんとした日本の方がいいな。日本は大変な時代に入っているが、常識が違い過ぎる外国では暮らせないと思う。

過去を売る女

断捨離に励む由佳利さん。昔はミステリが好きだったが、年を取ったら「老眼で字が小さすぎて読めない」と驚愕。この後、古本処分に至る。

「新・トルコで私も考えた2023」@高橋由佳利

これもわかりすぎる。私も同じ理由で、文庫本漫画等をすべて処分した。というか、既に小説そのものに興味がなくなった。今は文字がぎっしり詰まっている媒体を見ると、気持ちが悪くなる。昔は活字中毒だったのに。
視力だけでなく、集中力や物事に対する関心も衰えるのだ。
図書館でも文字が大きい本、イラストが豊富でカラー刷の「健康本」ばかりを手にしている(フィクションより、今は健康に関心があるため)

「年を取ったらやってみたいこと」は考えないほうがいい。やりたいことは先延ばしせず、すぐ着手したほうがいい。気力や体力などが衰えて、楽しみが楽しみでなくなるから。「時間とお金があっても、できなくなる」ことの方が多いから。
そのかわり執着も薄くなるから、気分は楽だけど。

トルコ系カナダ人夫婦の話

旦那さんの友人夫婦が来日したときの話。

「新・トルコで私も考えた2023」@高橋由佳利

この奥さまがパワフルすぎる!私も歩くほうだと思うが、この距離は無理かも。こういう健脚で方向感覚の良い人に、引きずってもらいたい…。
日本人でも歩かない(歩けない)距離を徒歩でまわるのは、すごい!

脱サラ・占い師の男性

由佳利さんが昔出逢った男性占い師。

「新・トルコで私も考えた2023」@高橋由佳利

古民家で珈琲付の占いをしている男性。60歳で人生の方向転換をしたという。おそらく風の時代前の話。
自由に生きることが向く人と、何かに束縛されるほうが安心という人がいて、どっちも間違いではない。私は50歳前に、今まで信じていた道を捨て、全く別の道に方向転換したので、なんだかほのかに嬉しくなった。

最後に

数日前に書いた記事。書き足し、書き足し作ったので、ちょっと長いしまとまりがないのですが、そのまま載せます。

――ペットのくだりで、ふと気づきました。私は過去にホームページを作成したり、何回かブログを作成したりしていますが、どういうわけか長く交流する方は「動物は嫌いではないが、面倒だし、死ぬところを見たくないから飼わない」タイプが多い気がします。
ペットブロガーの読者さんは、あまりいないかも。

文章だけで、互いに同類を嗅ぎ分けるのかもしれませんね。

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