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'自分だけ'の鮮やかさ-October Passed Me By-

 肌寒くなってきたら毎年聴きたくなる曲がある。私の場合、それはクリスマスとか雪とかそういう季語が入った曲ではなくて、夜にしんしんと静かに雪が降る外をぬくぬくした部屋から一人でしずかに楽しんでいるような、そんなあたたかい曲だ。
 
 最近そんな曲にまた出会った。Girl In Redというバンドの「October Passed Me By」という曲だ。わたしは何もかもはっきりと抑揚をつけて口に出して説明しなければいけない場所が苦手だ。表に出して表現しないと、感情の起伏がないとネガティブにみなされてしまう。
 だがこの曲の歌詞を聴くとじぶんだけの思い出を自分だけで大切に保管することの鮮やかさを思い出す。晴れの日に散歩しているとき、あったかい日に昼寝をしているとき、瞼の裏で草木がゆらゆらと動くのを感じる時。自分は何もせず、こういうゆっくりとした時間の中で生きている人間なのだと気づく。そんな小さな世界がわたしにとっては十分なのだ。アーティストのVが歌う「Winter Bear 」を聴いたときも、私は同じような感覚に包まれる。

 生きるペースがゆっくりな自分を責めなくてもいいのだす
いつか死ぬのだからせめてきれいなものをいっぱい見て、いい思い出を多く作りたいなと思う瞬間だす

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