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ブシロードは「一体何がすごいのか?」2008年の思い出

ブシロードは、エンタメ業界でいま最も注目を集める企業です。
『カードファイト!! ヴァンガード』『BanG Dream!』の会社と言えば、わかるかたも多いでしょう。TVCMや交通広告も多いので、ファンでなくても作品は知っているはずです。

ブシロードの創業は2007年、わずか10年あまりで急成長しました。スタートはトレーディングカードゲーム事業ですが、現在はアプリゲーム運営やアニメ製作、音楽制作、声優事務所からプロレス団体経営まで多様なエンタメを展開しています。
直近のグループ年間売上高は321億円。2019年7月に東京マザース市場に上場し、現在の時価総額は620億円です。

いまでは非常に有名なブシロードですが、僕はかなり早い段階から会社に注目していたひとりのはずです。それには理由があります。

2008年の夏のある日のことです。
当時僕は「アニメ!アニメ!」というアニメ情報サイトを運営していました。運営といっても社長 兼 編長長、たまにバイトくんが手伝ってくれる状況です。(サイトは2012年に現在の運営者・株式会社イードに譲渡)

そこに突然電話がかかってきました。ブシロードという会社からです。広報担当が会社の説明したいので、挨拶に伺いたいとのことです。
現在はエンタメ企業の担当者がアニメサイトに情報を持って挨拶にいくことは珍しくありません。でも2008年当時は、ネットメディア、特にアニメニュースサイトなんてキワモノ扱い。そんな場所にわざわざ挨拶なんて、まずありません。

ブシロードがブロッコリー創業者の木谷高明氏が立ちあげた新会社と知っていたので僕は興味があり、「是非!」と返事しました。

しばらくして、阿佐ヶ谷にあるベンチャー企業のためのインキュベーションにある小さなオフィスに担当者がやってきました。
当時は商品の数も少なく、リリースの紹介もすぐ終わりました。あとはオタク話で盛り上がりました。本当に顔を合わせの挨拶って感じです。
「いま社員数は何人なんですか?」「8人です」と聞いたのだけよく覚えています。

むしろ強烈に印象に残っているのは、ネットメディアに情報を載せようとするする合理的な考えかたです。
メディアの片隅に存在した「アニメ!アニメ!」ですが、当時はすでに複数の外部サイトにニュースの配信をしていました。そのニュースをネットで目にする機会は割と多かったのです。
もちろん雑誌メディアや他のエンタメサイトにもアプローチしたはずですが、こんな場所にまで目配りしているのが驚きでした。ネットメディアにこれまでにない実利があると感じたのでしょう。
「情報はネットから」そんな時代を一足早く先取りしていたわけです。

その後ブシロードはいち早くスマホアプリゲームに進出し、SNSやYouTubeを積極的に活用しました。これも同じ思想が流れています。

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僕は仕事柄、「これから来るエンタメ企業」をウォッチしていますが、ブシロードは常に僕のウォッチリストの最前列にある1社です。
「驚くほどの多角化」、「世界進出」、「急成長」とビジネスの注目要素も多いのですが、僕にとっては2008年の驚きがいまでもその理由です。それはブシロードと創業者である木谷高明氏が持つ卓越した先見性と戦略です。

さらにもうひとつ。世間からあまり相手にされてなかった小さなサイトに「是非!」とわざわざ足を運んだこと。それが僕の気持ちを掴みました。
ブシロードの一番の成功の秘密は、こうした人の心を掴む技にあるのです。

そんなブシロード創業者・木谷高明氏に、私こと数土直志が徹底的にお話を聴くイベントを12月16日(月)に開催します。
「アニメビジネスマガジン COMEMO by NIKKEI」による『アニメビジネス インタビューLIVE!』シリーズ第1弾のゲストとして木谷高明氏をゲストに招きます。
「ざっくばらんに聞きすぎるだろう」と、しばしば言われてしまう数土ですが、興味がありましたら是非、ご参加いただければ!
https://eventregist.com/e/come1210

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