スドウナア 短編小説まとめ

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記事

サンタクロースの願いごと

僕の目の前にサンタクロースがいる。60代半ばぐらいにみえる。髪も髭もすっかり白いが、老人にありがちな活力の衰えは感じない。  巨大な身体はやや...

キルンベルガー第2法

ディーター・ヨハネスは65歳になる。職業はピアノ調律師。家族を持つことは出来なかった。しかし、彼にはいつだって音楽があった。  幼い頃、ディー...

人生の大半をラブホテルで過ごした女の話し

マーガレット・ファミリアは人口10万人の小さな町に生まれ育った。子供の頃から絵が好きで、小さなコンクールで賞もとった。初めての受賞は小学校2年...

頼むから返事をしてくれ

我々は1891年について、好き勝ってに語ることができる。露仏同盟が調印されたとか、シベリア鉄道の開発が始まったとか。  私にとっての1891年...

僕らはこうしてパスタに襲われる

春キャベツが美味しい。丁寧に火を通したガーリックオイルに、鷹の爪とアンチョビ、たっぷりの春キャベツ、それから隠し味でケッパーを少し。  スーパ...

ミランダは真上に住んでいる

僕は安普請のアパートメントの1階に住んでいる。真上の部屋にはミランダが住んでいる。そのミランダが男を連れ込む音がしたのは午前4時。  まずは当...

祈りの手法

30歳の夏、僕は弾き出されるようにして都会を離れた。妻と息子はついて来なかった。あと、犬も。持ち出せたのは、せいぜい離婚調停と座骨神経痛ぐらい...

それにしても、恵まれている

ボリス・カーネマンと妻のアンナは就寝前に、きまって一杯のシャルトリューズを飲む。100種類以上のハーブを調合した薬草系のリキュールで、独特の強...

私の夫たち

プライベートの格好は学生の頃とあまり変わらない。少しアシンメトリーなショートボブ、気の利いたメッセージがピンク色の文字で入った白のTシャツ、膝...

女しかいない

冷たい雨が降っていた。クローゼットに仕舞い込んだスプリングコートを引っ張り出したくなる寒さ。大通り沿いの入り口から、急ぎ足でメトロへ降りた。 ...